「サッカー代表監督」本当の名将は誰か/国吉好弘

 

「サッカー代表監督」 本当の名将は誰か(詩想社新書)

「サッカー代表監督」 本当の名将は誰か(詩想社新書)

 

 

 タイトルには「誰か」とありますが、この本の中で「誰か」を特定しようとしているワケではありません。

 そういう意味ではタイトルに偽りありなのですが、どっちかというと「勝つための代表監督の条件」というタイトルの方がふさわしいのかもしれません。

 選手の能力を見極める目だったり、寄せ集めのチームをまとめあげるマネジメント脳力だったり、勝負勘だったりと、伝統的に代表監督に求められる様々な能力はあるわけですが、そもそも近年のサッカーの代表チームにおける代表監督の個人的な能力が勝利に寄与する割合が下がってきているのではないか、という指摘は印象的です。

 と言うのもブラジルW杯で優勝したドイツにおいて、レーブ監督の能力の高さは間違いないのですが、ドイツのサッカー協会のバックアップ体制が勝利に寄与した割合が、かつてなくクローズアップされてしかるべきだったということと、逆に次々と優秀なプレイヤーを輩出しながらも、なかなか結果を残すことができないアフリカ諸国のサッカー協会の組織の脆弱さを、併せて指摘されています。

 日本も、協会の支援が機能した南アW杯において結果を残したことに見られるように、日本が得意な組織力を十全に発揮しての好結果をロシアW杯でも期待したいところです。