恋愛をしない若者たち/牛窪恵

 

 

 テレビでもご活躍のマーケティングライター牛窪さんによる若者論です。

 牛窪さんの著書は、これまでにもいくつかこのブログで紹介してきましたが、この本が一番内容的にしっくり来る感じですかね…

 タイトルの通り「ゆとり(さとり)世代」とされる若者たちは恋愛に消極的だということで、そういう年代の人たちの恋愛観を紹介されているのですが、どうもこの人たちって恋愛が「コスパ」的に合わないことが多いと考えているようで、恋愛に“損得勘定”が働いているようです。

 多くの若者たちは恋愛には消極的でありながらも結婚願望は比較的強く、かつセフレもいたりするのですが、原田さんの『近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」 』で紹介されていたように、それぞれのコミュニティ内において“KY”扱いされて“ハブられ”るのを避けたいとか、ストーカーに遭うんじゃないかとか、リスク面にばかり目が行って二の足を踏んでいる側面と、あまりにも情報が溢れすぎていて、その情報に触れることでお腹いっぱいになってしまっている等々の「恋愛阻害要因」を紹介されます。

 ただ、それ以前の世代でも、見合い婆さんとか会社が“出会い”を演出していたりと、恋愛を“サポート”する「仕組み」があったから成り立っていた部分もあったということで、そういう「仕組み」がリセットされた状態において、新たなサポートの仕組みが必要なのではないか、と指摘されます。

 また、結婚の形態も「通い婚」や「別居婚」「圏外婚」など、様々な結婚の形態について社会的に寛容になる必要があるんじゃないか、ともおっしゃいます。

 でも恋愛が「損得勘定」って、世知辛い世の中になったもんですねぇ…