悪の起業学/大村大次郎

 

悪の起業学

悪の起業学

 

 

 元国税調査官・大村さんによる起業本です。

 以前も大村さんによる起業本を紹介しましたが、この本も『悪の~』と言いながら、内容は極めて真っ当です。

 この本でも各自治体のモノまで含めて、中小企業支援の施策を事細かに紹介されて、支援の活用をススメられていると同時に、法人組織・個人事業のいずれを取るか、青色申告・白色申告のいずれを取るかの判断の基準も細かく紹介されています。

 特に強調されているのが、ご専門だからと言うだけではなく、そこで思わぬ苦労をされている起業家の方が多い「納税」のことです。

 多くの起業本は、税金のことなんて稼げるようになってから考えればよいといったスタンスなんですが、起業の形態なども含めて、納税のことを予め念頭に置いてデザインしておかないと後で困ることになってしまいかねないということを指摘されています。

 特に国税庁のワナにハマって、青色申告をする起業家が少なからずおられるということですが、起業家に取って多少のメリットが用意されているとはいえ、多くの起業家にとってメリットは少なく、徴税側の都合にハメられているに過ぎないので、安易にそちらを選択すべきではないとおっしゃいます。

 結構、実務面での内容が多いので、起業が具体化している人に向いている本です。