会社も税務署も教えてくれない会社員のための節税のすべて/小林義崇

 

 

 東京国税庁の元国税専門官で現在はマネー関連を中心としたライターとして活躍されている方が指南する「節税」法です。

 

 国税出身の方の「節税」術というと、大村大次郎さんの『あらゆる領収書は経費で落とせる』を思い出しますが、アチラは事業者向けで、まあまあ脱税スレスレの、どちらかというとハナシとしてオモシロいことが主眼になっているモノも多く、中にはその通りにして通らなかった人もいるらしい…ということもあるのですが、この本は納税にあまり直接かかわることの少ない会社勤めの方をターゲットとしていて、内容も至極真っ当で、読み物としてのオモシロさには欠けますが、どちらかというと自宅に置いておいて辞書的に活用したくなるような網羅的なモノとなっており、実用度はバツグンです。

 

 基本的に日本のサラリーマンは、会社ひいては国家に飼い慣らされて、徴税のことに関心が行かないように仕向けられているという側面もあり、とにかく徴税について関心を持ってもらうことから始めて、ひいては自身で確定申告に取り組んで節税にいそしんで欲しいということだそうです。

 

 タイトルにあるように基本的に「節税」策というのは自身で情報を集めて、その方策が自分に当てはまるモノなのかどうかということを検証した上で、一つ一つネタを集めて丹念に実行していくしかないということで、こういう本で基本的な知識を網羅しておいて、その上で、応用的に情報を集めて実行していくと、サラリーマンでもバカにならない額になることもあるようです。

 

 IDeCoやNISAもそうですし、ふるさと納税もそうですが、もっと基本的なことを言えばちゃんと確定申告で適用可能な控除を漏らさず申告するということがスタートであり、そういう一見細々とメンドーに思えますが、その効果は絶大だということでこういった本をバイブルにして丹念に取り組んでいきたいモノです。