役に立たない読書/林望

 

 

 リンボウ先生の読書論です。

 「読書論」といっても、先日著書を紹介した樺沢紫苑さんの『読んだら忘れない読書術』にような実用的なモノではなく、どちらかと言うと豊かな教養を身に付けると言った側面の強い内容です。

 そういう趣旨で読書をするのであれば、やたらと数を読むことが重要なワケではなく、「自分にとって「心の栄養」となるような本を読」むことが重要で、それを自分なりに熟読玩味することで、徐々に教養が醸成されていくようです。

 よくエライ人たちが古典を読むべし!とおっしゃいますが、事態を超えて読み継がれるものにはそれだけの価値がある、なんてケムに巻かれたような理由に釈然としない人も少なからずいらっしゃると思うのですが(ワタクシもその一人なんですが…)、
この本では、古典に書かれていることの中にも人の営みがあり、ぜんざいの我々と何ら変わらぬことで悩んでいたりする姿が描かれていて、そういう姿を味わうことで人情の襞のようなものが自分の中にできていくから…とおっしゃっているように感じました。

 あと1つ、子供に本を読んでもらいたい親として重要なリンボウ先生からの忠言!

 「読書と引き換えに何も求めないこと」…蓋し、至言ですね。