仕事消滅/鈴木貴博

 

 

 経営戦略コンサルタントの方がAI各目に伴って無くなってしまう仕事について分析されています。

 これまでもそういった趣旨の本を読んでると、「AIを使いこなすような仕事をすれば、その仕事は残る」といった、解ったような解らないようなコメントがあって釈然としなかったのですが、そもそもワークフロー自体も不合理な部分があれば、AI自身がそこを是正してしまうということも視野に入れておくべきだというこの本での指摘に深くナットクした上で、結局は当面高い確率で残る仕事というのは、開発への費用対効果が見込めない細かい指先の作業を伴う仕事に限られるということです。

 一番興味深かったのが、そういった社会環境が実は歴史上存在したことがあったということで、ローマ帝国における労働の奴隷階級への委譲で、帝国市民は高等遊民となっていた状況に似ていることを指摘されています。

 ここで“奴隷”にあたるのがAIとなるというともあり得るんじゃないかという、一見ブッ飛んだ指摘をされているのですが、面食らいつつもええんとちゃの!?と思うワタクシもいたりするのですが、労働をしなという状況に人類が耐えられるのか!?という指摘もされていて、そこにも深くナットクしたりして…とにかく技術の進化を何も考えずに受け入れるのではなくて、今のうちに社会的なコンセンサスを形成した上で受け入れる準備をしておかないといけないのかも知れません。