以前『君の働き方に未来はあるか? 労働法の限界と、これからの雇用社会 (光文社新書)』を紹介した労働法が専門の大学教授である大内さんが2018年時点での雇用を取り巻く状況を紹介した本です。
前の『君の働き方に未来はあるか?』での2013年時点の雇用状況と比べても、前著で触れられていたホワイトカラーエグゼンプションが不完全なカタチながら法制化されたことと、あの時点に比べて人手不足の状況が顕著になっていること、それよりも何よりAIの死かに伴う単純労働の減少が見通せるようになった状況を踏まえた内容になっています。
とは言え、無責任な予測に終始するのではなく、AIに止まらずICTの進化によって生まれる新しい就業の形態にどういった法制的な労働者保護が必要なのか、またどういった部分が不足していて対応を検討しなければならないのかといった観点で語られています。
かなり先進的な部分まで見通されてはいるのですが、大内さんも認めらている通り10年先の就業の形態なんて最早正確に予測するなんて不可能に近く、そんな中で労働者の権利や雇用の確保を守っていく難しさが一層増していくような気がします。