君の働き方に未来はあるか? 労働法の限界と、これからの雇用社会 (光文社新書)
- 作者: 大内伸哉
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/01/17
- メディア: 新書
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一見、ありがちな自己啓発本っぽいタイトルですが、労働法が専門の大学教授が労働法的な観点から雇用関連のトピックを紹介された本です。
この本は2013年に書かれた本で当時非正規雇用に関する問題がクローズアップされていた頃だということもあって、正社員であることと派遣などの非正規雇用で働くこと、自営業として働くことについての労働法的な差異について、とても丁寧に解説されています。
そういう所に留まらず、のちに安倍政権において導入されることになるホワイトカラーエグゼンプションについても、早晩日本でも導入されることになると見通されています。
というのも、この本でイタリアにおける雇用状況を紹介されている章も盛り込まれていることでわかるように、欧米から見ると日本の雇用を取り巻く状況はかなり特殊で、現在では長期雇用慣行に基づく労働者の育成に関するコストを企業が担うことはかなりの負担となっており、グローバルな競争においてはかなりのハンディキャップとなってしまうということで、いずれ日本でもこういう制度は消滅し、労働者自身が就職以前から自分のスキルを積極的に形成していく必要があるということを指摘されています。
2013年時点で大内先生は自身が教えられている学生についてノホホンとしているとおっしゃられていますが、ここ数年で学生の意識も相当変化しているように見受けられ、大内先生の“予言”がここでも当たっているようで、なかなかキビシイ状況にあるようです。