象徴天皇の推移を専門とする歴史学者でありながら役所に情報公開請求を繰り返しているうちに公文書についても詳しくなって、それについての著書も数冊出版されることになったという方が昨今物議をかもしている公文書管理についての現状を紹介されています。
モリカケ問題やイラクでのPKO活動に関する日報の問題など安倍政権になってから官庁の公文書管理について、ビジネスの感覚からするとあまりに杜撰というか子供だましにもならないような言い訳を、一流大学卒の官僚がひねり出しているのをみると怒りを通り越して泣きたくなりますが、そもそも官僚というのは公文書を隠したくなるインセンティブが元々あるということを指摘されています。
最近問題になった件についての官僚の国会答弁などで、公文書に当たるかどうかということを議論されていますが、そもそも公文書管理法においては政策に関する意思決定にかかわる文書はメモであっても公文書に当たるワケで、仕事の上で作られた文書はすべからく「公文書」にあたるはずなのですが、与党や官僚はかなり恣意的に公文書の範囲を限定しようとしてはばかるところがなさそうです。
与党や官僚という政策の意思決定をしようとする人たちがそんな姿勢ですから、公文書管理をキチンとしようとする向きは皆無で、乱脈を糺すことは全く期待できなさそうです。
そういったできるだけ隠そうとする姿勢があるもんだから、歴史的に価値のある文書であっても、保存の必要が無ければできるだけ処分しようとするということで、仕方のないことなのかも知れませんが、研究者の方々がそういった価値を啓蒙して行って、保存の動きが出てくれば、とは思います。
それにしても、この国の官僚制は最早近代国家のそれとは思えない堕落に見えてしまいます…