キャプテンシー/鳥谷敬

 

 

 長らく勝てない時代の阪神タイガースを生え抜きとして支え、2019年には千葉ロッテマリーンズに移籍して、今シーズンもいぶし銀の活躍を続けている鳥谷選手が、”アニキ”こと金本監督の下でキャプテンを務められていた時に書かれた著書です。

 

 今シーズンは久しぶりに首位を快走している阪神タイガースですが、鳥谷選手の2年目の2005年に岡田監督の下でリーグ優勝していらい、早や16年優勝から遠ざかっていますが、今年はこのままゴールテープを切れるのでしょうか…

 

 鳥谷選手と言うと、2018年シーズン限りで阪神を離れて千葉ロッテに移籍することになるのですが、その時に阪神の対応が長年にわたる功労者への対応とは思い難い、かなり失礼なんじゃないかと思える部分があるのと、金本監督の下でキャプテンを務めている時も、覇気にかけるとかということで、相当ハッパをかけられていた記憶があり、本人的には大丈夫なんだろうか…と思うことが多々ありました。

 

 本人はかなり知性派と言うか、考えて野球をするタイプなので、気合一発の金本監督とはあまり相性はよくはなかったでしょうが、それでも金本監督の間は、数少ない生え抜きだからという事情はあったとはいえ、ずっとキャプテンの重責を果たしてきたところから見ても、それなりに評価はされていたんでしょうけど、どうしてもその実力や実績から見ると軽い扱いをされているなぁと思わざるを得ません。

 

 最近は野球でもあんまり根性論に重きを置く指導者が減ってきていて、しかもかなりアタマを使わないと、多少センスがあってもなかなか成功しない選手が多くなってきている感じで、ひょっとして鳥谷選手は早く生まれ過ぎたんじゃ…と思いながらこの本を読んでいました。

 

 現役生活はそれほど長く残されていなさそうなので、今から歴史に残る選手になる可能性は低いかも知れませんが、その理知的な野球センスで、歴史に残るような指導者になってもらいたいところです。