メジャーリーグでも活躍された経験のある元プロ野球選手の田口さんが、オリックス二軍監督を務められていた2016年の経験を通して、プロ野球の二軍について語られた本です。
田口さん自身、日本でプレーされている時は押しも押されぬスター選手だったので、あまり日本では調整やメジャーからの復帰後を除けば二軍でのプレーは少なかったのですが、アメリカでプレーされていた頃は契約の問題もあって、メジャーとマイナーを行き来されていたこともあって、アメリカのマイナーと日本の二軍の比較論的なことも紹介されています。
日本の二軍でも、モチロン一軍昇格に向けた激しい競争が繰り広げられているのですが、アメリカのマイナーリーグと比べるとかなり育成の意味合いが強いようで、シーズン中ずっと、明日をも知れない競争を強いられた経験を持つ田口さんから比べるとヌルく感じる部分もあるようですが、そういうところでキビシくやり過ぎてしまうと、現代の若者の性癖に合わないということもあって、そうでありながらも一軍に活きのいい選手を送り込むことを求められる立場とのせめぎ合いで、この年代にして初めて経験した中間管理職の悲哀を吐露されます。
以前、現在のヤクルトスワローズ監督である高津さんがヤクルトの二軍監督を務められていた頃のことを書かれた『二軍監督の仕事』を紹介しましたが、高津さんが二軍では如何にキモチよくプレーしてもらうかに心を砕かれているということでしたが、田口さんは一軍との行き来を経験することにより、ご自身がアメリカのマイナー生活で苦労されていたからか、できるだけ早くプロで求められているモノの厳しさに自分で気づくように考えられているのが印象的です。
当時のオリックスは一軍二軍共に最下位に沈むなど、暗黒期とも言える時期で、田口さん自身も体調を崩されて退任されるなど、二軍監督としては不遇には終わったようです、昨年から一軍のコーチングスタッフとして復帰されたということで、アメリカでの豊富な経験をオリックスの強化につなげることが期待されます。