まちづくりと図書館/大串夏身

 

 

 ご自身も図書館勤務を経験されていて、大学で図書館に関する講義をされていたり、図書館の設立計画にも関わられている方が、まちづくりに果たす図書館の役割について語られた本です。

 

 まちづくりと図書館がどう絡むのかということについて、あまり意識する人は多くないんじゃないかと思うのですが、実は都市計画に関しての規定をしている「まちづくり3法」の規定に基づく中心市街地活性化基本計画のガイドラインに図書館の役割を盛り込むようにとの指針があるということで、多くの自治体の基本計画に図書館の役割について言及されることになっているということです。

 

 まあ、ガイドラインにあるからと言う消極的な理由でおざなりの記載をされているところも少なからずあるでしょうけど、中には積極的に図書館の役割をクローズアップして、まちづくりの重要な役割を担わせようという計画も少なからずあるようです。

 

 特に「まちづくり3法」の基本的なコンセプトの中に、コンパクトなまちづくりというモノがあって、できる限り生活を歩いていける範囲で済ませられるようにとの指針があって、ショッピングセンター的な商業施設の中に官公庁を設置しようとするところが出ていていて、そんな中で図書館も商業施設内に設置しようという動きもあるようです。

 

 特にそういう施設だと図書館が人流に一定の役割を果たす部分もあるんでしょうけど、せっかくそういう拠点にあるんだからということで、ある意味での発信基地になろうとか、知的なイベントの拠点にしようとか、そういう積極的な姿勢の図書館が少なからず出てきているということです。

 

 やはり図書館と言うと知的活動の役割を担うのが相応しいというところもあって、高齢者の情報リテラシーの向上だったり、子どもたちが本に親しむことから始まって、情報社会における基本的なスキルを身に付けるためのサポートなんかにチカラを入れられているところもあるようです。

 

 さらには起業家や中小企業なんかをターゲットにして、ビジネス支援を視野に入れているようなところもあるようで、結構図書館がエキサイティングな場になっているところもあるようです。

 

 本離れが叫ばれて久しいですが、できれば本を取り巻く環境が盛り上がれば理想的ですが、それだけではなく、知的な交流の場としての図書館がもっと活性化すればいいですよね!?