めざすは認知症ゼロ社会!スマート・エイジング/川島隆太

 

 

 『脳トレ』の監修者で知られる川島先生の著書を近所の図書館で見つけたので、手に取ってみました。

 

 川島先生は東北大学加齢医学研究所というところに所属されていて、脳の老化について研究されているのがメインの活動だということですが、老化やアンチエイジングというコトバが退化というイメージにつながるということで、「華麗なる加齢」や「スマート・エイジング」という概念で啓蒙して行こうという意図の一環でこの本も出版されたようです。

 

 この本は、脳の基本的な機能や、脳の機能の研究の歴史、川島先生ご自身の研究の振り返りなど、かなり多くの内容を取り込もうとして、肝心のスマート・エイジングの内容が薄くなっているのは残念ではありますが、脳科学の基本的な知識をつけるためにはちょうどいい内容かも知れません。

 

 タイトルとなっている「スマート・エイジング」に関する内容ですが、認知症にならずに年齢を重ねていくようにするためには、朝食を摂るようにするとか、睡眠の役割を紹介されていたりするのですが、やはり脳を使い続けるということと関連して、先日紹介した『スマホが学力を破壊する』で強調されていたようにスマホの脳機能への悪影響というモノが決して若年層だけにとどまらないということで、ヒマに飽かせてスマホを長時間触り続けるのは、認知症のリスクを急激に増加させてしまうということをしっかり認識しておかなくてはいけないようです。

 

 ただ、やっぱり肝心の「スマート・エイジング」に関する内容が全体の1割程度にとどまっているのが残念で、このテーマにフォーカスした1冊を作って欲しい所です。