スマホが学力を破壊する/川島隆太

 

 

 一世を風靡したDSソフト『脳トレ』の監修者としても知られる脳科学者の川島先生が語られるスマホが及ぼす子どもたちへの悪影響を脳科学的な観点から語られた本です。

 

 中高生、最近は小学生でもスマホを持っていることが多くて、子どもたちのスマホ依存に悩まれる親御さんは多いんじゃないかと思いますが、以前紹介した『スマホ脳』もスマホへの依存がもたらす弊害について語られていて大きな話題をまきましたが、この本ではより直接的にスマホの長時間利用が継続することによって脳機能が直接的なダメージを受けるといった衝撃的な内容について語られています。

 

 この本ではスマホの使用時間だけでなく、学習時間や睡眠時間とクロス分析を踏まえてスマホと成績の低下の相関的な関係を分析されていて、多くの人々はスマホの利用時間の増加に伴い、睡眠時間や学習時間が減少したが故に成績が低下するといったように考えられているのではないかと思いますが、実はそういう間接的な影響による成績の低下ということについては相関的な関連が見られないようで、睡眠時間の減少による成績の低下はあるものの、睡眠時間が減ると脳機能は低下しがちなんでありえるとして、学習時間が少ないからと言って必ずしも成績の低下を招くワケではなく、スマホの利用時間の増加が優位に成績に低下を招いていることから、スマホの利用が直接的に脳機能への悪影響を及ぼしているのではないかとおっしゃっておられます。

 

 元々スマホが普及する以前、川島先生が『脳トレ』の開発に携われていた時に、ゲームをする時間の増加が脳機能の低下をもたらす危険性について認識されていたということで、『脳トレ』の開発においてはそういう弊害を避けるための方策を取られていたということです。

 

 その弊害をもたらす要因として、スマホやゲームを定常的に扱うことによって、繰り返しの動作が増え、脳の情報処理の中枢を担う前頭前野の機能が低下するということで、特にゲームやLineなどのショートメッセージのやり取りが前頭前野の機能低下に及ぼす影響が大きいということです。

 

 ウチのムスメたちもかなりの時間スマホを触っていることで気にはなるのですが、この本でも紹介されているように、その分周囲の人々とのコミュニケーションを積極的にするといった代替策も含めて、マジメに考えないといけなさそうです…