野人力/鈴木光司、鈴木美里

 

野人力 オヤジが娘に伝える「生きる原理」 (小学館新書)

野人力 オヤジが娘に伝える「生きる原理」 (小学館新書)

 

 

 一世を風靡したホラー小説『リング』の作者である鈴木さんがお嬢さんと「生きるチカラ」について語ります。

 ホラーが苦手なワタクシにとっては、鈴木さんは『リング』の作者というよりも、以前このブログでも紹介した『なぜ勉強するのか? (SB新書)』の素晴らしさが印象に残っており、さぞ端正な方なんだろうなぁと思っていたんですが…「野人」でした…

 お嬢さんは小さい頃から、お父さんの「野人」ぶりに翻弄されてきたようなのですが、それでもお父さんの「生き方」を尊重されていて、ただそれにしても、「それはないでしょ…」ということについての疑問をお父さんに問いただす、というカタチになっています。

 一貫して、お父さんである鈴木さんが答えるのは、裸で放り出されたとしても、力強く生き抜くためのチカラを身につけるようにするということで、そのためにはギリギリの危険を冒さないといけないこともあるし、現代のワタクシ達を取り巻く便利グッズの「過保護」を遠ざけないといけないこともある、と言うことです。

 また、そのために「原理」を突き詰める必要性にも言及されていて、自分なりに考え抜いた末にモノにした「原理」が生き抜くための礎になるということです。

 自然、世間の「常識」の中でヌクヌクとしている「一般人」からすると、あまりに奔放で「野人」とされてしまう訳ですが、「無法」な訳ではなく、却って「一般人」よりも遥かに教養にあふれているというのが、面白いなぁ、と思いました。