地球を斬る/佐藤優

 

地球を斬る (角川文庫)

地球を斬る (角川文庫)

  • 作者:佐藤 優
  • 発売日: 2009/08/22
  • メディア: 文庫
 

 

 “知の怪人”佐藤優さんが作家デビュー間もない2006年から約1年間『フジサンケイビジネスアイ』誌に連載されたモノをまとめた本です。

 

 執筆当時は訴追を受けている期間だったということで、かなりディープにご自身が訴追を受けた事件についても言及されていますし、この頃は当時の外務省の対応について、かなりキビシイ態度で糾弾されているのが印象的です。(最近は、恨みが薄らいだのか、外務省への期待を諦めたのか、それとも何らかの圧力があったのか、インテリジェンスについては触れられても、外務省の対応についてはあんまり言及されなくなっちゃいましたね…)

 

 ご自身が事件に巻き込まれることになった小泉内閣での外交というのは、日朝首脳会談が目立つものの、色んな意味でかなり稚拙な取組が多かったようで、その後にもかなりの後遺症を残すようなモノだったということで、ただ単にご自身が不利益を被っただけには留まらない悔恨があるようです。

 

 第二次政権でも、外交面ではそれなりの成果があった安倍首相ですが、悲惨な小泉政権での外交を受けて、かなり立て直しに貢献されたということが多少以外だったりしますし、昨今の財務大臣としての体たらくを見ていると相当意外なのですが、佐藤さんは当時の麻生外相をかなり高く評価されていて、度々そういった言及が見られます。

 

 ただ、この頃は相当外務省の耐性が混乱していたようで、再三大きな意味での外交の方向性の再確認について言及されているのが印象的です。

 

 後年の悟りを開いたかのような論調もよいですが、この頃の舌鋒のスルドさも個人的には胸がすくようで好きだったりします。