考える技術/大前研一

 

考える技術 (講談社文庫)

考える技術 (講談社文庫)

 

 

 日本が世界に誇る頭脳・大前さんが語る思考法です。

 日本人は往々にして論理的思考が苦手で、思考プロセスで言うと、仮説を設定しただけなのに「結論」が出たと思ってそれに飛びつくといった傾向が強いようで、その先の徹底した仮説検証が欠けているがゆえに失敗が多くなるということです。

 元々原子力のエンジニアだった大前さんはひょんなことからマッキンゼーにヘッドハントされ、理系らしい論理的な思考を企業のコンサルティングに適用したことで精度の高いモノを生み出すことができたということのようです。

 「仮説検証」の中には徹底したフィールドワークも含まれており、それが大前氏の論理の正確性を担保しているということで、現場主義の重要性を再三強調されています。

 この本は2004年に出版された本なのですが、その論理的思考力を元に携帯電話の将来を予測されていますが、まんま現在のスマホのようなものを想定されていることに驚きます。

 ということで、この本に提唱されている方法論を元に考え抜けば、我々もあわよくば…

 

2枚目の名刺/米倉誠一郎

 

 

 一橋大学イノベーションを専門とされているセンセイの著書なんですが、タイトルからも伺えるように、如何にも大学のセンセイが書かれるような浮世離れしたモノではなく、最新の「働き方」の提唱ともいえる本です。

 「2枚目の名刺」っていうと、週末起業などの副業を思い浮かべる方が多いと思いますし、ワタクシもそういう本だと思って手に取ってみたのですが、この本はそういうことに限らず本業とは違ったことに並行して取り組むことで、双方にシナジー効果をもたらすことが期待できるようです。

 割と、従来の専門分野を活用した「プロボノ」というカタチでのNPOやNGOでの活動が多く取り上げられていますが、こういうことに取り組むことで、こんなにも社会人としての人生を充実させることができるのかと思うと、かなり眩く映りました。

 

税務署は3年泳がせる/飯田真弓

 

税務署は3年泳がせる。 (日経プレミアシリーズ)

税務署は3年泳がせる。 (日経プレミアシリーズ)

 

 

 『税務署は見ている。 (日経プレミアシリーズ)』の続編的な本です。

 税務署の一年間のスケジュールの流れに合わせて、どんな時期にどんな税務調査が行われているのかということを紹介されています。

 タイトルの「3年泳がせる」というのは、最近話題の副業なんかで、納税申告をしないまま続けていたら、大体3年位で税務調査がやってくるということみたいです。

 元国税調査官である飯田さんに、税務調査に関する相談をするといったトピックが並べるカタチで進んでいきますが、基本的にキチンと税務申告を行っていれば、あんまり税務調査を受けるということは無いようなんですが、メディアに取り上げられるとか、目立ったことがあると調査が来ることがあるようです。

 前著でも紹介がありましたが、特に現金商売については、目を光らせているようで、税務調査とは関係なく食事をしに行った時でも、キチンと現金管理をしていない状況を見かけると、すぐに調査に候補となるようで、そういうスキを見せないようんい気を付けないといけないようですよ!

 

まずいラーメン屋はどこへ消えた?/岩崎夏海

 

 

 『もしドラ』の岩崎さんによるイノベーション論です。

 タイトルの意図は、ネットが普及する以前の社会だと、多少問題のあるラーメン屋でも近所にあれば、それなりにお客さんは入っていたんだけれでも、食べログなんかの普及で、ある一定の基準に満たない店は、ディスられて、その悪評ゆえに客足が絶えてしまうということで、ライバルも比較的広域になってしまうということです。

 そんな中で生き残ろうと思ったら、絶え間なくイノベーションを起こしていかないとダメで、一度イノベーションを起こしても、そこに依存していたらダメだということでコダックソニーの事例を「イノベーションのジレンマ」の例として挙げられています。

 逆に、そういう好例として挙げられているのがアップルで、例えば、iPodイノベーションの一例ですが、その売上を損なってしまいかねないiPhoneを敢然と開発するなど、継続的なイノベーションへの取組を絶賛されています。

 言ってみればこの本は『もしドラ』の種明かしで、『もしドラ』出版の経緯についても触れられています。

 『もしドラ』を読んだ人は、それにとどまらず是非、この本まで手に取ってもらいたいと思います。

 

 

お金の正しい守り方/大井幸子

 

お金の正しい守り方 (日経プレミアシリーズ)

お金の正しい守り方 (日経プレミアシリーズ)

 

 

 ムーディーズリーマン・ブラザーズなど、アメリカの先端で金融の世界に携わってこられた方の投資に関する著書です。

 でも正直、企画としては大失敗と言える本で、そういう経歴の人だったら、何かヒミツの持ちネタがあるんじゃないかと思った編集者が著作を持ち込んだけど、結局ウマく作者をコントロールできなくて、オモシロくもない教科書的な内容を延々とタレ流した挙句、投資の秘訣もよくわからない話でお茶を濁して…ということで、こういう本はオクラ入りにする勇気が必要なんじゃないかと思いますが…

 

 

資金繰りは4色通帳にまかせなさい/亀田潤一郎

 

資金繰りは4色通帳にまかせなさい  社長のための世界一やさしいお金管理法 (経済界新書)
 

 

 『(文庫)稼ぐ人はなぜ、長財布を使うのか? (サンマーク文庫)』で一躍ベストセラー作家となった亀田さんの「本業」での著書です。

 中小企業の経営者の多くは資金繰りに四苦八苦されていると思いますが、その特効薬になるかも知れません。

 なぜ、ほとんどの中小企業で資金繰りが苦しいのか、ということについて亀田さんは、経営者が会社でのお金の流れを見ていないという一点に尽きる、とおっしゃっています。

 そこでお金の流れを把握しやすいようにということで、

  「入ってくるお金」  →「売上収入口座」
  「出ていくお金」   →「運転資金口座」
  「使っていけないお金」→「納税緊急口座」
  「使ってもよいお金」 →「将来投資口座」

と銀行口座を4つ設定して、それぞれの役割を明確にすることで、それぞれの口座残高を見るだけで、会社のお金の流れを把握できるということです。

 モチロン口座を複数にすることで振込手数料等のコストが加わるのですが、それ以上に資金繰りに問題点が発生した時の原因追及が容易であるとか、キッチリと資金管理をしていることがアピールできることによる銀行からの信用度の向上など、メリットは大きいということです。

 多少メンドクサい感じはしますが、中小企業のオヤジさん方、如何でしょう?

 

2回以上、起業して成功している人たちのセオリー/博報堂ブランドデザイン

 

 

 

 なぜ「2回以上」なのか?ということなんですが、起業して「成功する」っていうのは、偶然ビジネスチャンスに恵まれて…という「運」によって左右される部分があるの
ですが、2回以上「成功」した人だったら「運」ばっかりじゃあないでしょう…ということで、複数回の起業に成功した方のインタビューから共通した要素を抽出しようということです。

 7人の方のインタビューの後、「8つのセオリー」を導きだす訳ですが、想像していたモノとはちょっと違う感じだというのが正直な感想です。

 例えば「市場調査を信用しない」というセオリーが挙げられているのですが、複数の起業に成功した方っていうのは、意外とフェイストゥフェイスでの情報などの「生」の情報を重視しているというのが興味深いところです。

 あと、ソフトバンクの孫さんの弟さんのインタビューでシリコンバレーの状況なんかも紹介されているのですが、やっぱりそういう意識が高い人が日頃から集まっている状況がある故の起業率の高さと言うことがあるようで、日本でもそういう「環境作り」ということを積極的にやらないといけないんだろうなぁ…というのが正直な感想です。