大人を磨くホテル術/高野登、牛窪恵

 

大人を磨くホテル術 (日経プレミアシリーズ)

大人を磨くホテル術 (日経プレミアシリーズ)

 

 

 元リッツカールトンの高野さんがサービスを提供する立場で、自他共に認めるホテルフリークである牛窪さんがサービスを受ける立場でホテルの“楽しみ方”を紹介された本です。

 「大人を磨く」ということですが、ホテルで受けるサービスって、それこそピンからキリまであるワケですが、特に高野さんがいらっしゃったリッツカールトンなんかだと、お客さん自身が想像もしなかったようなサービスを受けることもあり、それが「満足」を超えた「感動」を生むんですが、感性がニブイとそういう体験もスルーしてしまいかねないワケです。

 そういう「不感症」にならないためにも、ホテルの洗練されたサービスを体験して感性を研ぎ澄まし、そこにどういう想いが込められているのかを振り返ることで人生が豊かになるんじゃないか、ということで、高級ホテルでサービスを受ける体験を奨められています。

 ただ高級ホテルに泊まる経済的な余裕がない人のために、時折ちょっと贅沢をして朝食をいただきに行くなどの気軽な楽しみ方も紹介されています。

 確かにそういうのもアリだなということで、早速ホテルに朝食をいただきに行こうかな?

 

恋愛をしない若者たち/牛窪恵

 

 

 テレビでもご活躍のマーケティングライター牛窪さんによる若者論です。

 牛窪さんの著書は、これまでにもいくつかこのブログで紹介してきましたが、この本が一番内容的にしっくり来る感じですかね…

 タイトルの通り「ゆとり(さとり)世代」とされる若者たちは恋愛に消極的だということで、そういう年代の人たちの恋愛観を紹介されているのですが、どうもこの人たちって恋愛が「コスパ」的に合わないことが多いと考えているようで、恋愛に“損得勘定”が働いているようです。

 多くの若者たちは恋愛には消極的でありながらも結婚願望は比較的強く、かつセフレもいたりするのですが、原田さんの『近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」 』で紹介されていたように、それぞれのコミュニティ内において“KY”扱いされて“ハブられ”るのを避けたいとか、ストーカーに遭うんじゃないかとか、リスク面にばかり目が行って二の足を踏んでいる側面と、あまりにも情報が溢れすぎていて、その情報に触れることでお腹いっぱいになってしまっている等々の「恋愛阻害要因」を紹介されます。

 ただ、それ以前の世代でも、見合い婆さんとか会社が“出会い”を演出していたりと、恋愛を“サポート”する「仕組み」があったから成り立っていた部分もあったということで、そういう「仕組み」がリセットされた状態において、新たなサポートの仕組みが必要なのではないか、と指摘されます。

 また、結婚の形態も「通い婚」や「別居婚」「圏外婚」など、様々な結婚の形態について社会的に寛容になる必要があるんじゃないか、ともおっしゃいます。

 でも恋愛が「損得勘定」って、世知辛い世の中になったもんですねぇ…

 

スポーツ・インテリジェンス/和久貴洋

 

 

 最近このブログで「知の怪人」佐藤優さんの本を多く紹介していることもあって、このブログを見てくださっている方には「インテリジェンス」というコトバに親しみがあるかも知れませんが、そういう外交や国防における「インテリジェンス」の考え方がスポーツの世界にも必要になってきていることを指摘されたのが、この本です。

 最近ではオリンピック競技を中心に、アスリートの個人の資質頼みでは成果を収めることが難しくなっており、国家挙げての強化策を組織的に推し進めて行かないと、成果につながらなくなってきているようです。

 そんな中で、どこをどのように強化していくかという中で、他の国家との情報戦が繰り広げられている様子を紹介されているのですが、どの競技を強化の対象とすべきなのか、とか競技に使用するギア類の開発など、ここまでやるのか?と思えるほどの取組を、北京、アテネロンドン五輪に向けた各国の取組を中心に実例を挙げて指摘されます。

 でも、日本って「インテリジェンス」が苦手なんで、スポーツでも後手に回っていってしまうんじゃないか、という危惧を抱いてしまいます。

 

近頃の若者はなぜダメなのか/原田曜平

 

近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」 (光文社新書)

近頃の若者はなぜダメなのか 携帯世代と「新村社会」 (光文社新書)

 

 

 若者研で多くの若者接する原田さんが「近頃の若者」ということで十把一絡げに切って捨てたようにも取れるタイトルの本を出版されるは意外だったので手に取ってみました。

 でもこのタイトルは原田さん自身も多少そう思うところは無きにしも非ずだとは思うのですが、世間のオジさんオバさんから見て何故ダメに見えるのか、というニュアンスなんだと思えます。

 ただ、ケータイの普及によって急速に若者たちの行動範囲が狭まっており、ケータイから情報に満足してしまって、実際の行動が非常に消極的になっていることを指摘されます。

 というのもケータイですぐに「つながれる」一方、それぞれのコミュニティの「同質化圧力」がかなり強いようで、それに外れた動きを弾くチカラが強く働くため、それを避けるために最近の若者が異様なまでに「空気」を読もうとするようです。

 結構そういうのがメンドくさい部分もあり、気心が知れた仲間内でしか実質的な行動を共にしないことが多いとということで、この本が書かれたのは2013年ということで、ボチボチこの本の対象となっている子たちが社会人になってくるということで、大丈夫なんかな…と結構心配になったのですが…

 

シメオネ超効果/ディエゴ・シメオネ

 

シメオネ超効果 リーダーの言葉で今あるチームは強くなる

シメオネ超効果 リーダーの言葉で今あるチームは強くなる

 

 

 2013-14シーズンのリーガ・エスパニョールで、メッシ擁するバルセロナや、C・ロナウド擁するレアル・マドリードを抑えてのリーガ・エスパニョールでのタイトル獲得や、2年連続チャンピオンズリーグ準優勝などの成功を収めたシメオネ監督が、プロサッカーチームの監督としてのご自身の考えを語ります。

 話がキャリアのあちこちに飛んだりと、イマイチ流れが掴みにくいところはあるのですが、それだけにゴーストライターの“作品”じゃないんだな、ということがわかる本です。(笑)

 活躍した選手をすぐに売り出してしまったり、ちょっと負けが込むとすぐに監督を解任するなど、シメオネ氏就任以前のアトレティコ・マドリードは、混乱の極みにあったのですが、そのチームをここまでの高みに押し上げた秘訣の糸口を語られるワケですが、ご自身の手腕が優れてたとかそういうワケではなく、チーム全体が同じ方向を向いた時にチームは勝つのだ、とおっしゃっています。
 
 ご自身は、自分の手腕でないとおっしゃいますが、「同じ方向を向かせる」ということについて、卓越した手腕を発揮されていると言えます。
 
 というのも、残留ギリギリとかタイトルのかかった試合でプレッシャーのかかったで逃げ出したくなるような状況の時だったり、試合に出られなくて不満がたまっている選手がいる状態と言った、バラバラの状況で「同じ方向」を向かせるということについての工夫を紹介されます。

 残念ながら2回目のチャンピオンズリーグの決勝でもレアル・マドリードに敗れてしまいましたが、シメオネ在任中に、何とか優勝を成し遂げてほしいモノです。

 

これからの中国の話をしよう/原田曜平、加藤嘉一

 

これからの中国の話をしよう

これからの中国の話をしよう

 

 

 『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)』の原田さんが、以前このブログでも古市さんとの対談本を紹介した中国版Twitter“微博(ウェイボー)”で多くの中国人フォロワーを持つ加藤さんと対談された本です。

 原田さん自身もマーケティング・リサーチでかなりディープに中国に関わられているとのことですが、9年間中国に住んでいた加藤さんとともに、如何に日本企業の中国ビジネスを成功させるか、ということについて語ります。

 中国ではどちらかというと民俗間、地域間の差異の方が顕著で、あまり世代論というのは重視されてこなかったのですが、“80后”“90后”の出現で初めて世代間の差異というのが意識されたと言うことです。

 その中で原田さんは日本の世代論になぞらえて、“80后”は“バブル世代”的、“90后”は“さとり世代”的と表現されているのに興味をひかれました。

 ただ未だビジネスの進め方としては人脈が左右する要素が強いということで、そういう面を強化しつつ、消費トレンドへの影響力を強めるようなマーケティングを並行して進めて行くべきだというところには強いナットク感がありました。

 

ジョコビッチの生まれ変わる食事/ノバク・ジョコビッチ

 

ジョコビッチの生まれ変わる食事

ジョコビッチの生まれ変わる食事

 

 

 元世界ナンバーワンテニスプレイヤー・ジョコビッチによる「食事」の本です。

 あちこちのメディアで扱われていたのでご存知の方も多いと思うのですが、ジョコビッチは小麦を取らない食事スタイルを取り入れてナンバーワンプレイヤーとなったということで、その食事スタイルを紹介されているのがこの本です。

 2010年位まで、トップクラスの実力を発揮しながらも、時折急激にパフォーマンスを落とすことがあって、スタミナの問題かと思われていたようですが、テレビでジョコビッチが急激にパフォーマンスを落とす様子を目の当たりにした同法の医学博士がグルテンの問題だと気づき、ジョコビッチ自身にコンタクトを取って、食事の改善を勧めたとのことです。

 元々両親がピザ屋さんを営んでいたジョコビッチは当然ながら小麦を多く摂っていたのですが、実は「グルテン不耐症」という小麦アレルギー的な体質があったらしく、小麦に中毒的な反応が出ることがあり、それが試合中の急激なパフォーマンス低下につながっていたということです。

 その後グルテンフリーと言われる小麦類を摂らない食事スタイルに変更してナンバーワンプレイヤーになったのですが、これはジョコビッチのようなアレルギー反応がある人だけでなく、多くの人にとっても慢性的な疾患の上昇改善や、思考力の向上と言った効果が現れるということで、有益なようです。

 でもワタクシにとって小麦類を摂らないということは、大好物であるラーメンや餃子を食べられないことになり、かつ“命の水”であるビールも飲めないことになるワケで、絶望的な気がしますが、ピザ屋育ちで、ピザをソウルフルードとして育ったジョコビッチも成し遂げたのであれば…