知ってはいけない2/矢部宏冶

 

 

 以前、日米地位協定などの取り決めで実は日本はアメリカの反植民地的な位置づけにあることを明白にした衝撃の『知ってはいけない』を紹介しましたが、その続編があると知って手に取ってみました。

 

 この本が出版されたのが2018年で、韓国の文在寅政権において、北朝鮮との統一がかなり現実的に視野に置かれたということがあって、概ね世界中で好意的に受け入れられていた中、日本だけが足を引っ張るような動きをして奇異の目で見られていたということを紹介されていますが、その理由として在韓米軍が撤退して、その動きにつれて日本の駐留米軍がいなくなってしまうと、その権力基盤を失いかねない自民党が慌てたということらしくて、しかも当時の首相が、日本の反植民地的な地位を永続させることになった地位協定の自動継続を決めた岸元首相の孫、安倍晋三だったということが象徴的だとされています。

 

 また、米軍の核兵器持ち込み承認の密約についても検証されているのですが、外相すら蚊帳の外において、岸元首相やその弟佐藤栄作が、腹一つでアメリカからの屈辱的な要求を受け入れた過程を紹介されており、それも国内で何か言われて、後世にアメリカに何か言われても「なかったこと」にするという唖然の子どもっぽさで、韓国に対して「ゴールを動かす」と、どの口が言うんだ!?と思えるほどの、おおよそ近代法治国家のトップとは思えないことをしていたということで、岸・安倍一族が日本に及ぼした害悪を誰かつまびらかに並べてほしいモノです。

 

 また、正編でも取り上げられていましたが、基本的に米軍が望めば日本の「どこにても」基地を置くことができるというのが事実なんだそうで、また米軍が海外に向けて出撃するのに、事前の日本政府の許可が必要ないという、他国では考えられない取り決めがあるということで、アメリカがどこかと戦争を始めて、日本から出撃するということになれば、自動的に日本もその交戦国の「敵国」とされてしまうということで、中国の台湾侵攻が現実的なモノとなりつつある中、どれだけの人が、特に政治家などの指導層が、その重大さを認識しているのかが、心もとないところです。

 

 そういう「不平等条約」もいち早く国際社会に復帰するための方便として仕方がないとは言えなくもないですが、明治期の高官が、江戸幕府が結んだ「不平等条約」についていち早く条約改正の努力を重ねたのに対し、自民党は逆にそれを自身の権力基盤としているとすら思えるほどで、それだけ考えても自民党が日本に対してなしてきた害悪の大きさがうかがえますが、ホンキで糾弾する動きが広まらないのがフシギで仕方ありません…