永続敗戦論/白井聡

 

 

 これまでも反体制的な言論の多い、白井さんの著書を何冊か紹介してきましたが、これまた権力者への批判的な言説で知られる内田樹さんとの対談本『日本戦後史論』や東京新聞の望月衣塑子記者との『日本解体論』だったり、もしくは講演を収録した『長期腐敗体制』だったりと、純粋な著書を紹介していなかったような…

 

 で、こちらが白井さんの出世作とされるモノなんだそうですが、これが観念的というか哲学的というか…とにかくわかりにくい…

 

 基本的には、日本はちゃんと「敗戦」を認め(総括し)なかったことで、その状態を「永続」されていて、そのことがバブルの崩壊を経て、日本社会のあらゆる側面でその歪みが露わになってきているということで、その弊害が一番顕著に出たのが東日本大震災を発端とする福島第一原発の事故処理だとおっしゃられていますが、今だったらコロナ禍もそういった文脈で語られるのかもしれません。

 

 そういう様々な事象と「永続敗戦」論を結び付けて語られてはいるのですが、個人的には難しすぎてイマイチそのつながりが読み取れないのですが、ひとつだけ腑に落ちたのが、民主党政権における沖縄対応で、鳩山首相普天間基地辺野古基地への移転を撤回して、国外移設しようとした件がアメリカの圧力で頓挫して、辞任に追い込まれた件で、日本では民意よりアメリカの意向を重視しなくてはならないことに、独立国家とは言えないのではないかということで、「横田空域」や「地位協定」など、他のアメリカの影響下の強く国であっても、こんな準植民地みたいな国は一つもないことを思えば、日本政治の怠慢に強い憤りを示すべきたというところです。

 

 この一つだけをとっても、自民党政権に日本人の誇りを語る資格がないことがうかがえます…