本音の沖縄問題/仲村清司

 

 

 元々は大阪在住の沖縄二世で、後に沖縄に移住された方が語られる沖縄の虐げられた歴史についての本です。

 

 "知の怪人”佐藤優さんが、お母さまが沖縄出身で沖縄戦の際にすんでのところで生き延びたということもあり、沖縄に深い関心を持って状況をウォッチし続けておられることを著書で折に触れて語られていて、時には独立のことまで語られているのに、まさかと思いつつも、完全に否定しきれない想いがあって、沖縄問題についてどこか気になっていたのですが、この本を見かけて手に取ってみました。

 

 江戸時代の島津家による沖縄侵攻以来、本土防衛の時間稼ぎのために沖縄人民を見捨てて甚大な被害をもたらした沖縄戦や、サンフランシスコ講和条約の際にアッサリ見捨ててアメリカ占領を受け入れて、苛烈なアメリカ占領を強いたこと、現在に至るまで基地負担を押し続けていることなど、沖縄の人たちに多大な犠牲を強い続けていることを大体の日本人は認識しているとは思うのですが、それでもワタクシを含めて多くの日本字に取ってあくまでも外形的な認識に過ぎず、どれくらいの苦難を味わっているのかというのはなかなかうかがい知ることはできません。

 

 この本ではご自身も大阪時代も沖縄出身ということでイジメを受けるなどの差別を体験し、その後沖縄の虐げられた歴史を追ってきた体験から語られているのですが、そこまでヒドイ目に遭わされたら、独立も考えたくなるよなぁ…と思わされます。

 

 昨今においても基地負担の補償的な意味合いでの振興策を講じてはいるものの、実際に観光以外の産業振興には結びつかず、未だ年収の平均は本土の6割にしか満たない状況にあり、更には昨今のコロナ禍による観光の制限もあり、より過酷な状況に陥っていることが想像でき、コトバは悪いですが為政者に取って沖縄は植民地という認識なのか!?としか思えないような気すらします。

 

 構造的な問題もあって、なかなか有効な振興策はムズカシイ部分はあるのかも知れないのですが、このままの状況が続けば沖縄がホンキで独立を考えるほど追い詰められた状況にあるんだという認識を多くの日本人が持っておくべきなんじゃないかということが深くナットクできました。