新しい道徳/北野武

 

 

 ビートたけしさんが語られる”道徳”についての本です。

 

 たけしさんはあとがきで「古くさい道徳を子どもに押しつけたって、世の中は良くなんかならない。そんなことより、自分の頭で考え、自分の心で判断できる子供を育てる方が大切だろう。そのためには、まず大人が自分が自分の頭で考えることだ。道徳を他人まかせにしちゃいけない。それが言いたくて、この本を書いた。」とおっしゃられています。

 

 そもそも道徳なんていうのは、管理する側が管理される方を扱いやすくするために”押しつける”モノであって、管理する側は「お年寄りに親切にするとすがすがしい気持ちになりますよ」なんてありもしないことを言うワケですが、それで管理される側に「それならば、年寄りをイジメるのとすがすがしい気分になるんだけど、イジメていいですか?」と聞かれたらどう答えるんだろうね!?とたけしさんらしいことをおっしゃられています。(笑)

 

 唯々諾々と管理する側の言うままにしていたら、取りあえずはカワイイやつだと思ってもらえるかもしれませんが、その人のシアワセを保証してくれるワケではないので、管理する側に虐げられない程度に自分がシアワセになるように自分の行動を考えることが肝要なようです。

 

 いつものたけしさんの著書とは違い、かなりマジメなトーンですが、かなり深遠なことをおっしゃっておられて、親やセンセイの押し付けに葛藤を覚えている若い人たちに手に取ってもらいたいな、と感じますが、自分のムスメたちがこれを読んで急に反抗的になったらどうしよう…(笑)