シャープの元社長が液晶テレビの「亀山モデル」成功の裏側を語られたのが主な内容の本です。
元々、シャープはテレビも大きな柱となる事業だったのですが、ブラウン管の製造を外部に依存していたことがアキレス腱となって、なかなか大きな利益を上げることができなかったようです。
そこで他社に先駆けて液晶テレビを大々的に開発して売り出そうということで、それまでの海外での製造から、三重県亀山市に新たに工場を建設してまで開発され、大成功をおさめたということで、生産拠点の日本回帰の先駆けと言う意味でも当時大いなる称賛を浴びましたし、液晶テレビに注力するのを契機に半導体事業から撤退し、当時IBMが実践していた「選択と集中」に取組み、利益率を向上させたことでも評価されました。
ただ、その後あまりに液晶テレビの成功に依存してしまい、かつ液晶テレビ自体がコモディティ化してしまって、韓国や台湾などでも安価で生産できるようになってしまい、液晶テレビに重きを置き過ぎた経営が「フラミンゴ経営」と揶揄されるようになり、経営破綻~台湾の鴻海精密工業への身売りの遠因となってしまい、町田さん自身がシャープの三大悪人の筆頭とまで言われてしまうようになったのは皮肉としか言いようがありません。
まあ、後出しジャンケンでどうのこうの行ってしまうのはフェアではないのですが、この規模の会社の経営者ともなると余程の先見の明が無いとキビシいということなんでしょうかね…