元外交官で、米軍仕込みの緻密な分析を通じた情勢分析に基づく著書で知られる宮家さんが米中戦争の可能性について語られます。
当面、米国はロシアのウクライナ侵攻への対応でそれどころではないかもしれませんが、そういう状況が状況だけに火事場ドロボー的に中国がスキを突いた侵略をやりかねないという向きも報道されていますが、宮家さんは割とその辺の状況について、冷静に捉えられていて、中国側にそこまで切迫した侵攻の意図はないのではないかという分析をされているように読み取れます。
武器を持ったら使ってみたくなる軍部はともかくとして、国家全体の行く末を担う指導層としては、国家の長久を実現する責任もアリ、日本のメディアで取りざたされているように、共産党100周年だからだとか、そういう理由でヘタをすると全世界を敵に回しかねないリスクを冒す程の価値を台湾進攻に見いだせないのではないかという可能性が高いとおっしゃいます。
宮家さんの十八番である、可能性の低い選択肢も含めたマトリックス分析に基づいて論を展開されているので、かなり信憑性が高いと思われるのですが、経済的に難しい状況にあるなど、国民の不満が高まっている状況ならともかく、コロナ禍で困難な状況にある中、ある程度つつがなく北京五輪も挙行し、コロナ禍の影響も最低限に抑え込み、未だ経済の状況もある程度の水準を保つ状況で、内政の問題を覆い隠す意味での台湾進攻というリスクを冒す可能性も低そうです。
中国というと、ちょっと中国に知ったかぶりをしたい向きがメンツ論を語りたがりますが、メンツだけで国家破綻のリスクもあり得る選択をするというのは、多少乱暴なところもあるような気がしますし、個人的な希望的観測も含めて、宮家さんの分析に深くナットクした次第です。