独裁者プーチンはなぜ暴挙に走ったか/池上彰

 

 

 池上さんがロシアのウクライナ侵攻を紐解かれたテイに見えますが、書き下ろしなワケではなく、”知の怪人”佐藤優さんの『プーチンの野望』同様、既出の原稿の中からウクライナ侵攻に関わる内容のモノを集めた本となっています。

 

 ということで、2014年のクリミア侵攻からカバーされているのですが、いつも歯切れのいい池上さんのイメージからすると意外なのですが、今回のロシアのウクライナ侵攻について、プーチンがコロナ禍で独裁者の「孤独感」にかられたことが原因だという分析を取り上げるほど、必然性が無く唐突感が拭えないことを印象付けます。

 

 まあ、元々ロシアは半分くらいウクライナは自分たちのモノだと思っているフシがあるので、何かの拍子に…というのはわかなくはないのですが、このご時世になってイケしゃあしゃあと侵略戦争をしてしまうことに西欧諸国はかなりショックを受けたようで、短期にSWIFTからのロシアの除外を決めたことも、そのショックの大きさを窺わせます。

 

 そういう得体の知れなさについて、「おそロシア」ということで、カタチの上で言論の自由は認められているロシアですが、反政府的な発言をする自由はあるのですが、それをやるといつの間にか"消されて”しまうことになるということで、多くの東欧諸国が民主化への道を辿ったようには、今後もならないのかもしれないということを感じさせます。

 

 同様に習近平プーチンに似た性癖を指摘されていて、ちゃくちゃくと独裁制を固めていく手法や、敵対ができないようにするための方法論など、中国もロシア同様、西欧的な民主化という道を辿ることは無さそうで、そうなると台湾はどうなる!?ということにつながりますが、ホントに万全で周到な対策をしておくことが必要なようです。