サクッとわかるビジネス教養 ビジネスモデル/山田英夫

 

 

 ビジネスに必須のトピックについて端的に語る「サクッとわかるビジネス教養」シリーズの1冊で、今回取り上げるのは「ビジネスモデル」です。

 

 「ビジネスモデル」というのはわかったようでわからないモノの最たるモノだと思えますが、この本では「稼ぐ仕組み」と定義して、儲けの源泉となっている仕組みを紹介されています。

 

 構成としては、様々な業界における「王道」とされるビジネスモデルと、そこから進化した「特徴的な」ビジネスモデルと対比して、その新規性と、儲かるようになった秘訣を語られます。

 

 「王道」のビジネスモデルは、やはりそれなりに有効性の高いモノで、それゆえに重宝されて長いスパンで活用されることが多いのですが、やはりどれだけよくできたモノであっても、状況の変化などでどこかにひずみが出てくるモノで、その歪みをいち早く見出して、改善するところが「特徴的な」ビジネスモデルということで、「稼ぎ」につながることが多いようです。

 

 「特徴的な」ビジネスモデルでは、それまでのプロセスを切り落としたり、付け加えたり、まとめたり、拡充したりと様々な観点での取り組みがなされることを、大きな「稼ぎ」につながっている先進的な取り組みの実例を、「稼ぎ」につながるポイントとともに紹介されています。

 

 個人的に印象的だったのがセブン銀行のビジネスモデルで、何を変えているかというと、「顧客」を転換していることが斬新で、これまで競合となっていた他行を「顧客」として、ATMの使用量を稼ぐというモデルで、メンテナンス費用がかさむATMを整理したいという他行とのニーズともマッチして、大きく顧客層を広めたことが着目されます。

 

 この本では様々な「特徴的な」観点を紹介することで、読者自身がビジネスモデルを考える際に、「王道」の歪みとその解決策を見出すように考えられているので、どんどんそういう観点を取り入れて、センスを磨いていきたいところです。