何が投票率を高めるのか/松林哲也

 

 

 長らく投票行動についての研究をされてきた方が、投票率に影響する様々な事象について、統計的な分析を交えて考察された本です。

 

 かなり学術的な色彩の強いモノで、数式を駆使されているということもあって、ド文系のワタクシとしてはとっつきにくいところはあるのですが、投票率に影響する様々な変数については興味がそそられるところです。

 

 日本は世界中の先進諸国の中でも群を抜いて投票率が低いということですが、与党自体があまり投票率が高い方が選挙における成績がいいということもあって、積極的に投票率の向上に取り組むということもなさそうではあるのですが、民主主義の原則からして、できるだけ投票において多数の意見が反映されている方が好ましいということもあって、できれば投票率が高い方がいいということ(都合の悪い、与党も正面切って反対はし難いところでしょうし…)で、どうやれば投票率が高くなるかということを、様々な変数を取り上げて分析されています。

 

 天候とか、投票所の数とか、女性議員や新規参入生徒の多寡とか様々な変数を提示されているのですが、概ねステレオタイプのイメージ通りというのが、あまり読み物としてオモシロくはないワケですが、大体多くの人が思っているような投票への誘因というのは、投票率向上に有効なようで、じゃあ、そういう施策がなされないのは、投票率が上がると当選の確率が怪しくなる与党が積極的でないせい…と思ってしまうワケですが、できるだけ多くの意見を集めようというのは、一定政治としての重要な責務だとも指摘されており、現在のように与党に都合のいい、高齢者や富裕層ばかりが投票率がいいという状態を、若年層や低所得層も意識すべきで、自分たちの意見が反映されるように、野党などを中心に積極的に促していきべきなんじゃないかと思うのですが…