日銀危機に備えよ/藤巻健史

 

 

 かなり久々にフジマキ兄の金融論の本を手に取ってみたのですが、ホントにこの人は全くブレません!(笑)

 このままじゃハイパーインフレが起こる!と警鐘を鳴らし続けてこられたのですが、
一向にその気配がないことから「オオカミ爺さん」と周囲に言われているということなのですが、膨らみ切った風船のような状態で、何かの拍子に突かれたら大爆発を起こしても不思議ではないということです。

 財政・金融的な状況としては第二次大戦前にハイパーインフレを起こしたドイツに極めて状況が似ているということと、その状況を“隠し”ながら政策を遂行しているところが昭和期の日本軍と似ているということが危機の深刻さを窺わせます。

 ここまで来てしまうと、リセットするためには、一旦ハードランディングをせざる
を得ないということですが、こういう“異常”な状況を理解した上で、個々人が対策を取っておくべきだということなのですが、その対策もこれまでのフジマキ兄節と何らブレはありません。

 暴落に耐えうる資産を持とうということで、できるだけ皆さんドル建ての資産を持
つようにしましょう!

 

ぼくらは地方で幸せを見つける/指出一正

 

(111)ぼくらは地方で幸せを見つける (ソトコト流ローカル再生論)

(111)ぼくらは地方で幸せを見つける (ソトコト流ローカル再生論)

 

 

 「スローライフ」や「ロハス」など新たなライフスタイルを提示してきた雑誌『ソ
トコト』の編集長が語る「ローカル再生論」です。

 「ロハス」の次に『ソトコト』が提唱すべき方向性として「ソーシャル」を想定さ
れていた中で出会ったのが、町おこしに取り組む、比較的若い層の人たちだったようです。

 これまでも過疎に悩む地方の自治体が若年層の移住を促すことで、その地域の活性
化を促そうとする取り組みがあったのですが、あまり成果を挙げることはなかったよ
うです。
 
 それらの取組とこの本で取り上げられている取組で決定的に異なるのは、地方に移
住しようする側が、地方に癒しを求めてとかといった姿勢ではなく、移住する地域に
おいて、自分がどのように貢献できるのかといった“攻めの姿勢”で移住するといっ
た姿勢です。

 そういった移住においては、受け入れる側も、その地域のいいことばかりをアピー
ルするのではなく、移住してくる人たちに、こういうことで困っていて、こう助けて欲
しいということを、素直にお願いすることで、具体的に移住する側が貢献できること
を明確にできるということで、より強固な関係につながるということです。

 ファンシーな移住では実現できなかったことが、“地に足のついた移住”によって
双方にメリットのあるモノにつながるようで、こういう方向性で、双方のシアワセに
つながればいいな、と切に思います。

 

英語の品格/ロッシェル・カップ、大野和基

 

英語の品格 (インターナショナル新書)

英語の品格 (インターナショナル新書)

 

 

 この本のターゲットは英語のネイティブ、特にアメリカ人と英語を使ってビジネスを
する人たちだと思われるので、ちょっとレベルが高めの人たち向けなのですが、ワタ
クシ自身も周りがネイティブだらけの環境で仕事をしたことは無いので、結構目からウロコの内容が目白押しです。

 まずアメリカ人は“英語ができない=仕事ができない”と考える傾向が強いようで、
ある程度“decent”に英語ができない人をあからさまにバカにして、相手にしないんだそうです。

 また英語のネイティブの人ってストレートなモノ言いをするイメージを持っている
日本人が多いと思いますが、確かに言いたいことをストレートに表現しようとするの
は間違いないのですが、キツイ言い方にならないようにかなり配慮した表現を心掛け
ている人が多いということで、何かプレゼントをする際に、あんまり英語が得意でな
い日本人だと、

 Please accept this.
(これを受け取ってください)

とやってしまいがちですが、これはネイティブにとって、かなりぶっきらぼうに響く
ようで、

 This is just a small token of my appreciation.
 (これはちょっとした私の感謝の印です。)

といった感じの表現が好まれるようです。

 特に申し出を断るとか、お願いことをするといったときのために「ハンバーガーの
法則」という、丁寧ではありながら言いたいことはしっかりと伝えようとするための
メソッドが紹介されていて、これはかなり有用だと思います。
 
 確かにある程度高いレベルの表現ではあるものの、こういう表現ができた方がネイ
ティブ受けはいいのは間違いないので、英語を使ってビジネスをしようとするのであ
れば、目指すべき方向性として、こういうモノを視野に入れておくべきなのかもしれ
ません。

 

そうだったのか!朝鮮半島/池上彰

 

そうだったのか! 朝鮮半島

そうだったのか! 朝鮮半島

 

 

 この本は池上さんがあるテーマについて掘り下げたモノを提供する『そうだったのか!』シリーズの1冊で、第二次世界大戦の終焉以降の朝鮮半島史を掘り下げます。

 この本は2014年に出版されて、朴槿恵大統領在任中なんですが、セウォル号沈没事故直後で、朴政権の“終わりの始まり”の辺りまでをカバーされています。

 東西ドイツが統一を果たしたのに対し、未だに韓国と北朝鮮は分断したままで、しかも一方は今や世界の火薬庫と化してしまっていますが、終戦時に端緒を見せつつあった米ソ冷戦の開始がもう少し遅ければ、こういった不幸な状態に陥らずにすんだのかも、とこの本を読んで感じます。

 嫌韓と言われる人だけではなく、割と一般的な日本人の多くは、韓国や北朝鮮の人たちの凝り固まった態度に嫌悪感を示しますが、その根にあるモノを知ると、そういう気にはなれないような気がします。

 日本人で、ここに書かれているような内容の朝鮮半島半島史をつまびらかに把握している人は少ないとは思いますが、かつて彼らを傷つけた民族の子孫としては、ある程度知っておくべきなのではないでしょうか。

 

英語で一流を育てる/廣津留真理

 

英語で一流を育てる――小学生でも大学入試レベルがスラスラ読める家庭学習法

英語で一流を育てる――小学生でも大学入試レベルがスラスラ読める家庭学習法

 

 

 大分の片田舎で、ご本人は海外への渡航経験もないのにも関わらず、お嬢さんを公立の小中高からハーバード大学へ送り組むまでに育て上げ、さらに多くの子供たちが驚異の英語力を持つまでに指導されている方の著書です。

 単純にスゴイなと思う人もいれば、マユにツバをたっぷり塗って読み始める人もいることでしょう…個人的には読み終わって感じるのは、ここまでできる親はほぼ皆無だろうな、ということです。

 廣津留さんは家庭での学習にかなり重きを置く考え方なのですが、まずかなりの根気が必要なこと、寛容さが必要なこと、ある程度以上の英語力が必要なことという条件を満たす必要があるという、相当なハードルの高さです。

 子供がやることとしては、文章単位のフラッシュカードを何度も繰り返して口に出すということで、繰り返し取組さえすれば、多少文法的に入り組んでいようが、子どもにとっては知ったこっちゃないんで、クドイですが、反復する根気さえあれば、結構覚えるんだろうなあ、ということはワタクシもナットクなのですが…

 もう一つ気になるのが、日本語を英語の論理展開に合ったようなカタチで身に付けさせるというのがあるのですが、そういう話し方って日本で生活していくと(コドモのコミュニティでは特に…)、周りから浮くだろうなぁ、と思うのですが…

 そういうリスクと上で挙げた3条件を満たすための相当な覚悟がある親御さん、この方法だったら、きっとコドモさん、英語が話せるようになりますよ、如何ですか!?

 

すぐやる!/菅原洋平

 

すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な

すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な"方法

 

 

 科学的に行動を促すというと石田淳さんが提唱する行動科学マネジメントを思い出しますが、この方はそれとは関係なく、作業療法士としての経験から脳の機能に着目して、脳の「行動するスイッチ」を如何に押すかということを紹介します。

 なかなか行動に移れないというのは、グータラな性格が悪いわけではなく、脳が働く体勢になっていないことに原因があるとおっしゃいます。

 脳って、いろんなカタチでなだめすかして行動がしやすいように“お膳立て”をしてや
らなければ、なかなかスイッチが入らないということで、例えば出勤してまずメールを上げると、本来やらなければならなかったことがあったはずなのに、受信したメールのことに脳の意識が行ってしまって、本来の作業に移りにくくなるということです。

 同じようにToDoをフセンに書いてPCに貼り付けている人を時折見かけますが、あれも脳のスイッチを入れるのを著しく阻害するようです。
 
 ということで普段の行動や言動でスイッチが入りやすくなるようなヒントが満載ですので、なかなかスイッチが入らない自覚のある人は是非ともご一読の程を!

 

「ない仕事」の作り方/みうらじゅん

 

「ない仕事」の作り方

「ない仕事」の作り方

 

 

 「マイブーム」や「ゆるキャラ」といったコトバを生み出し、様々なムーブメントを巻き起こしてきたみうらさんが自らの仕事を振り返った本です。

 「ない仕事」ということなんですが、この本は行ってみれば“究極”の“好きを仕事に”なのかも知れません。
 
 というのもみうらさんは何か“グッと来たもの”を温めておいて、ある時点で「一人電
通」ということで、知り合いの編集者を接待して“営業”をし、温めてきたものをカタチ
にするということで、まさに“好きを仕事に”変えてきたワケですよね!?

 みうらさんのような立場だからできていることはあるんでしょうけど、こういう「好きなこと」への執着の仕方、「仕事」への変換のさせ方というのは、どこかアタマの片隅に置いておけば、いつか役に立つことがあるのかもしれませんよ!?