議員の品格/岸井成格

 

議員の品格 (マイナビ新書)

議員の品格 (マイナビ新書)

 

 

 個人的には、サンデーモーニングでのバランスの取れたコメンテイターぶりが印象的で、2018年に亡くなられた岸井さんが語る、議員論です。

 安倍チルドレンがくだらないスキャンダルで次々とその職を追われるのを見るにつけ、昔の議員はもうちょっとマシだったよなぁ、と思う向きがあると思うのですが、まあかつての議員もそれなりに悪さをしてたのはワタクシの記憶にもあるのですが、少なくとももうちょっと気骨があったよなぁ、とこの本でもおっしゃられています。

 でもこの本のメインテーマは個々の議員がどうのこうのというのではなく、そういう議員を我々有権者がその本質を見抜いて、ちゃんと自分が望む政策を実現してくれる議員を選ぶのか、という“目”を如何に養うのか、ということのようです。

 特に若い人が如何に投票行動に繋げてくれるかということに心を砕かれていて、ホンの微力と思える投票行動が、実は大きな影響力を以っているのか、ということを強調されています。

 若い人もモチロンなんですが、選挙制度等の今更ヒトには聞けないことも詳しく紹介されていて、オトナにも自分の投票権を振り返るのにもいいのかもしれません。

 

ガリ勉じゃなかった人はなぜ高学歴・高収入で異性にモテるのか/明石要一

 

ガリ勉じゃなかった人はなぜ高学歴・高収入で異性にモテるのか (講談社+α新書)

ガリ勉じゃなかった人はなぜ高学歴・高収入で異性にモテるのか (講談社+α新書)

 

 

 一見、モテに関する本のようですが、子どもの教育が将来の就職や結婚等に与える影響について考察したという内容の本です。

 教育と言っても、学校教育や塾などのいわゆる“お勉強”ではなくて、それ以外の子供同士での遊びや旅行やお手伝いと言った“経験”を子どもにさせることが、将来の学歴や就職、年収、結婚などにプラスの影響を与えるということが、統計的にも示されているということです。

 基本的にいわゆる“お勉強”以外の経験が豊かであればあるほど年収も高くて、結婚している割合も高いということで、こういうタイトルになっているということなのですが、多面的な人格形成が将来の“成功”への近道だということです。

 押しなべて年収が高くて生活に余裕のある家庭が子どもたちにそういう経験をさせてあげる割合が高く、そういう意味でも教育の“格差”が生じ易いということです。

 どうしても親としては子供に勉強勉強と言ってしまいがちですが、それよりもいろんな経験をさせることの方が“成功”への近道だということで、親子共々、目いっぱい遊んでもらいたいものです!

 

 

同時通訳者のカバンの中/関谷英里子

 

同時通訳者のカバンの中  ツールを使いこなせば英語力3割アップ!

同時通訳者のカバンの中 ツールを使いこなせば英語力3割アップ!

 

 

 NHKラジオ講座の講師としても知られる同時通訳者の関谷さんが、ご自身が仕事で使われているカバンの中身を見つつ、同時通訳者のみならず英語学習者にも役立つ様々なツールを紹介されます。

 最初に現在使われているカバンの中身に沿ってツールを紹介されるのですが、学生時代から会社員時代、駆け出しの同時通訳者時代に使われていたツールも紹介されていて、英語学習に使えるツールの驚異的な進化を感じさせます。

 今なお英語力のブラッシュアップを欠かさないとおっしゃる関谷さんなので、情報機器の進化に伴うツールの進化をウマく取り入れられているのですが、それほど急進的な感じではないので、どういう風にそういったツールを取り入れて行ったらいいのかという悩みをお持ちの英語学習者の人には結構参考になるんじゃないかと思います。

 ちょっと目先を変えて新たなツールを使うことで劇的に効果が上がることもあるので、是非活用して見てもらいたいところです。

 

オトコのカラダはキモチいい/二村ヒトシ、金田淳子、岡田育

 

オトコのカラダはキモチいい (角川文庫)

オトコのカラダはキモチいい (角川文庫)

 

 

 この本はよっぽどなかったことにしようかと思ったのですが…

 『すべてはモテるためである』など深遠な性愛論で知られる二村さんの本はそれぞれ示唆のある恋愛論でうならされるので、著書は手に取るようにしていて、この本も手に取ったのですが…

 性愛論というか…二村さん自身は、ウラで手を引いているのかもしれませんが…腐女子のBL論全開で、主役は金田さんと岡田さんみたいで、二村さん自身は賑やかしというか、ツッコミ役というか…そんな感じです。

 “雄っぱい”ということで、オトコの乳首責めを語ったり、BLでのセックスシーンでは、本来アナルに挿入しているはずが、女性との通常のセックスでの挿入のような絵柄になっていることが多いようで、幻の“あおい穴”について語られたりしています。

 その辺で十分ついていけないのですが、そのあとSMの女王様とかリアルゲイとか登場して、収拾がつきません…

 でも最後の方にLGBTのことが語られていて、そういう性的な嗜好に対する偏見をなくしていこうということで、こういう嗜好も尊重していくべきなんでしょうねぇ…

 

サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい/三戸政和

 

 

 投資ファンドで中小企業の事業承継や事業再生を手掛けられている方が、主に大企業からのリタイアを間近にするサラリーマンをターゲットに中小企業の買収を勧めた内容の本です。

 この本は元々三戸さんが同様の趣旨のことを講談社のネットメディア「現代ビジネス」にて発表されたところ大反響を呼び、急遽、より深い内容を盛り込んでこの本を出版されることになったということです。

 ワタクシ自身、中小企業診断士を目指していた時に学習の中で、中小企業の後継者確保の難しさについてよく聞いたのですが、10年以上経った今でも状況は好転していないようですね。

 後継者難といっても多くの会社の業績がそれほど悪いワケではなく、半数以上の会社が黒字であるにも関わらず廃業に追い込まれるようです。

 サラリーマンの側からしても、昨今企業がもてはやされているものの、三戸さんによると、ゼロからの起業を成功させることができるのは限られた人だけだということで、あの孫さんでさえも厳密にいうとゼロから会社を育て上げた経験は少なく、ご自身も不得手だと考えていたフシがあって、企業買収を駆使して企業規模を拡大させていったということを指摘されています。

 そういうサラリーマン側は、退職後のリスクを軽減した上での収入源確保という面と、企業側としては、大企業で長年勤務経験がある後継者の確保というニーズがマッチして、Win-Winの関係ができるということです。

 さらにはそういうサラリーマンだと知らず知らずのうちに“マネジメント”を経験しており、ましてや管理職経験が長い人は経営者的な資質も蓄積されているということで、買収する側される側双方に大きなメリットが見込まれます。

 モチロン“余所者”が馴染めない可能性と言ったリスクは少なからずあるのですが、ゼロから起業するリスクと比べれば…ということのようです。

 それこそ高齢者の活躍の場の確保や、中小企業の廃業率の低減など、かなり社会的な意義も大きな提言だと言える内容で、経産省なんかがマッチングの機会を整備するなど、積極的に機運を盛り上げて行ってもらいたいところです。

 ということで三戸さんには是非、具体的なご経験を踏まえた、実践編というかケーススタディみたいな続編を出版して欲しいですね!

 

1冊の「ふせんノート」で人生は、はかどる/坂下仁

 

1冊の「ふせんノート」で人生は、はかどる

1冊の「ふせんノート」で人生は、はかどる

 

 

 『いますぐ妻を社長にしなさい』が大きな話題となった坂下さんが、ふせんを活用した情報整理術を紹介されます。

 ふせんを使った情報術って今までも紹介されていたと思うのですが、この本で紹介する情報術では、「ふせん」自体が情報を書き込む主体となっており、ノート自体は、言ってみれば「器」のような位置づけで、大きめのふせんに書き込んだ内容をペタペタノートに張り付けていくといったモノです。

 そうすることでいつでもどこでもメモを取れる携帯性と、A4ノートの一覧性と相まって情報の整理がしやすくなるということです。

 確かに取っつき易いですし、使えるなぁとは思うのですが、この本の大半がコンセプトの説明に費やされており、もうちょっと活用法とか、効能の内容があったらもっとよかったのにと感じます。

 坂下さん、“実践編”みたいな続編を書いてもらえないですかね!?

 

シンガポールで見た日本の未来理想図/花輪陽子

 

 

 ファイナンシャルプランナーで、以前はテレビのコメンテーターとしても活躍されていた方がダンナ様の転勤に伴ってシンガポールに移住し、そのまま定住されたということで、シンガポールの社会・経済の状況や、シンガポールの人々の暮らしなどを紹介された本です。

 シンガポールは建国の父リー・クワンユーが一党独裁政権の中、かなり緻密な計画の下で経済圏が形成されて言っているということで、世界中から投資が集まるような環境を作り上げているということです。

 経済的なことだけでなく、人材への投資という位置づけで教育にも注力しており、日本では国家予算の5.5%が教育関連に向けられているのに対し、シンガポールでは2割以上もの投資をされており、その結果、世界中から優秀な人材が集まってきています。

 ただかなり早期からエリート層への選抜は始まっており、大学への進学率は3割程度ということで、それぞれの適性に応じた職に就くということが徹底されているようで、そういうところも世界トップクラスの生産性の高さにつながっているのかも知れません。

 国家の規模や政治形態などの観点から日本がシンガポールの成功要因をそのまま摸倣できるワケではありませんが、参考にしてもらいたいモノが盛りだくさんでした。