奇跡を起こすスローリーディング/伊藤氏貴

奇跡を起こすスローリーディング (日文新書)

奇跡を起こすスローリーディング (日文新書)

 最近、速読がもてはやされますが、その逆を行く、本の読み方に関する
本です。

 この本によると、本の読み方には、文学を味わうための「味わい本」、
情報を得るための「鵜呑み本」、自ら思考するための「咀嚼本」の3つ
があるとおっしゃられていますが、「味わい」は一旦脇に置いておくと
して、インターネットで何でも、一発で検索できるようになった現在で
は、「鵜呑み本」の価値が相対的に下がっていて、自分の思考を鍛える
というか、考える媒介としての「咀嚼」を目的とした読書である、スロ
ーリーディングが重要性を増している、ということです。

 スローリーディングでは、本に書かれていることだけでなく、また、
「行間」に書かれていることにもとどまらず、自分の思考を思うがまま
に広げてゆき、極端な話、その本の世界から逸脱しても構わない、と
おっしゃいます。

 そういう風に、本に書かれていることを触媒として思考を広げていく
訓練をしていることで、逆説的ではありますが、素早く正確に物事を
判断することもできるようです。