「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー/高橋秀実

 

 

 嵐の二宮和也さん主演でドラマ化もされた、東大進学者数ト
ップで、屈指の進学校の野球部を追った本です。

 東京都予選で、意外な強さを発揮していたことに興味をそ
そられた著者が、そのユニークなアプローチに惹かれるままに、
近い将来の甲子園球場出場を信じて、追いかけられたドキュメ
ントです。

 監督によると、いわゆる“野球のセオリー”と言うものは、
ある程度以上に、オーソドックスなプレーを無難にこなせる
人たちに当てはまるものであって、それを満たせないのなら、
別のアプローチで、勝利を目指すべきだ、ということです。

 戦略としては、バットにボールを当てに行くのではなく、
常にフルスイングをして、長打になればラッキー、弱小野球
部も長打を打たれたと動揺しているのに付け込んで、連打を
浴びせ、ドサクサに紛れて大量点を奪い、相手の戦意を無く
させて勝つ、という荒唐無稽でありながら、そのアプローチ
は極めてロジカルだというものです。

 ロジカルでありながら、冷静に聞くとハチャメチャな論理
を展開する監督と、どこか理屈っぽさがありながら、素直な
生徒たちの織りなす活劇に、そこはかとないほほえましさを
感じた次第でした。

 でも、ホントに甲子園に出たら、スゴイですよねえ…