田口さんの、引退直後に書かれた日米の野球の比較論
的なエッセイです。
おそらく田口さんは、日本人の中で、ある意味最もデ
ィープにアメリカ野球に関った人の一人だと思うので、
メジャーに興味のある人は、こういう本を読んでみたい
と思うに違いありません。
ご自身が苦しまれたであろう、メジャーとマイナーの行き来に関しても、「契約のアヤ」をわかりやすく解説されていたりもします。
興味深く読んだのが、近年メジャーで重視されるサイバーメトリックスと言われる、選手評価の仕組みに関する田口さんの見方です。
『マネー・ボール』で有名になった、アスレチックスのビーンGMが持ち込み、資金が限られる中で、目覚ましい成果を残したということで、メジャー球団がこぞって導入した仕組みなんですが、選手の評価が数字一辺倒になること…特に、ベテランプレイヤーが、まだまだ競争力を維持しているのに、年齢だけが原因で切られてしまうといった風潮に警鐘を鳴らされています。
田口さん自身が、そういう数字で表れにくい部分での貢献を評価されてきた選手だったから、余計にそう思うのかも知れませんが、ベテランの味のあるプレーや、若手選手への影響などを数字一辺倒で切り捨ててしまう…ある意味アメリカらしいのかもしれませんが、割り切れないキモチには、ワタクシも賛成です。