期待はずれのドラフト1位/元永知宏

 

 

 『Number』で取り上げられていたので手に取ってみたのですが、どうやら中高生位をターゲットにしたと思われるジュニア文庫の1冊でした。

 「期待はずれ」とありますが、この本で取り上げられているのは、メジャーも経験した多田野だったり、ひと頃は巨人のくろーざーを務めた河原だったり、どん底の時代の阪神のエースの藪だったりと、それなりの実績を残された人が多いのですが、まあ、ドラフト1位だともっとできただろ、と言われると「期待はずれ」とされても仕方がないのかな、という…まあ、中高生にほぼ無名の選手の、ただただダメダメな苦労話を聞かせても…とことなんですかね…

 ただ、この本の価値と言うのは、ドラフト1位で華やかにプロ入りしたにも関わらず、当初思ったような成果を上げることができずに挫折を越えて、そこそこの成果を上げたというところにとどまらず、引退以降のセカンドキャリアについても取り上げられていることだと思います。

 イタリアンレストランのオーナーシェフをしている元横浜の水尾投手とか、IT企業に勤務している元ソフトバンクの江尻投手とかが紹介されているのですが、ただ元プロ野球と言うだけでなく、ドラフト1位と言う同世代のプロ野球選手としてはトップクラスの評価を受けた彼らが一時は挫折を味わい、それを超えてプロ野球選手であり続けたということが、その後の人生にも活きているということを啓蒙するということで、中高生に取っても意義深い本だといえるのでしょう。