アメリカを動かす思想/小川仁志

 

 

 このブログでも軽いタッチの自己啓発本をいくつか紹介したことのある小川さんの本なんですが、今回は本業の哲学者としての学術的な本です。

 アメリカ人の根底を流れる思想ということで、プラグマティズムとそれを取り巻く思想について体系的に紹介されています。

 結構アカデミックに語られているので、なかなか理解するのが大変なところもあるのですが、それでも実践を重視するプラグマティズムの考え方がアメリカ人の行動の深い部分を支えていることが、著名人の行動や歴史的な事実の紹介からよく理解できます。

 歴史の長い国だと、倫理観や伝統と言った外的な要因に阻害されて取れない行動もあるかと思いますが、目的を果たすことが正義だという考え方が、ややもすると功利的な印象を受けがちですが、そういう既成概念に捉われない行動力と言うのが、今もなおアメリカと言う国のパワーの源泉なんだなあ、ということがよく理解できます。

 アメリカ人とお付き合いをする可能性のある人は、是非とも一読しておくべきだと思います。