「知の怪人」佐藤優さんがファシズムについて紹介されるのですが、多くの日本人はファシズムについてミョーな偏見を持っていて、正確には理解できていないということと、それ故に現代のファシズムの危機に気付かない可能性が高いということを指摘されています。
なぜ日本人はファシズムについて理解できないかというと、多くの人はファシズムと言うとヒトラーのような極右を思い浮かべてしまうからのようで、確かにヒトラーのナチズムはファシズムの一類型ではあるものの、過度の民族至上主義など、純粋なファシズムとは言い難い面もあるようです。
佐藤さんはファシズムの典型としてムッソリーニのイタリアを挙げておられるのですが、日本人にとってはヒトラーの陰に隠れて、その実像が捉えにくいムッソリーニなんですが、ヒトラーとはその趣がかなり異なるようで、少なくともヒトラーのような排外主義的な思想はなかったということです。
そもそもファシズムは資本主義及び共産主義の欠陥を補うというところから始まっており、経済の理想的な在り方を志向するという側面があり、そういう意味で資本主義の限界が指摘される現在において、何らかの処方箋が期待できる可能性があるということで、トランプのアメリカ、Brexitのイギリス、極右が台頭したフランスにおいて、ファシズム的な思考が見られるということです。
ただ一方でヒトラーのナチズムのように極端な排外主義とも相性がよく、かつての悲劇を繰り返す危険性もあって、だからこそ今、ファシズムについて深く理解する必要があるんだということです。
