英雄への挑戦状/ヘスス・スアレス、小宮良之

 

英雄への挑戦状―世界最高のサッカー選手論

英雄への挑戦状―世界最高のサッカー選手論

 

 

 ちょっと紹介の順序が前後しましたが『World Soccoer Digest』誌への辛口コラムの寄稿で知られるスアレスさんの『~の挑戦状』シリーズ第3弾です。

 これまでは監督の采配にフォーカスが当たっていたのですが、今回は選手にフォーカスを当てた構成になっています。

 現代のトッププレイヤー15人を選んで語られているのですが、トッププレイヤーを厳選(大まかな選択は編集部が行って、基本的にその中から最終的にスアレスさんが選んでいるようです)しているからか、いつもほどの舌鋒の鋭さはありません。

 日頃、相当批判の対象としているクリティアーノ・ロナウドについても「ゴールをするためのサイボーグ」なんていうビミョーな表現があり、独善的なプレーについての言及はありますが、その類稀なるゴールセンスを称賛されています。

 ただ、やっぱりスアレスさんの好みはファンタジー溢れるプレーをするフットボール・インテリジェンスに富んだプレイヤーで、その最右翼としてバルセロナイニエスタを挙げられています。

 現在の選考方法では、どうしても派手なゴールなどの結果がモノを言う側面が強いので、未だバロン・ドールの受賞には至っていないですが、当代きってのフットボール・インテリジェンスを誇ると手放しで絶賛されていて、過去を遡ってもその才能に比肩しうるのは、あのジダンだけだとおっしゃいます。

 最後に日本選手について言及された章を設けられていますが、この本は2014年出版ということではあるのですが、スアレスさんが最も評価されているのは岡崎選手ということで、昨シーズン、その正しさを証明したことになりますね。