王者への挑戦状/ヘスス・スアレス、小宮良之

 

王者への挑戦状 世界最強フットボーラーなで斬り論

王者への挑戦状 世界最強フットボーラーなで斬り論

 

 

 昨日に引き続き『World Soccoer Digest』誌への辛口コラムの寄稿で知られるスアレスさんの『~の挑戦状』シリーズ第4弾で、昨日紹介した『英雄への挑戦状』の続編ということで、引き続きトッププレイヤーの論評で構成された本です。

 今回は10名の選手を題材にしているのですが、モチロン、トッププレイヤーたちが俎上に乗っているわけですが、前作と比べるとトップ・オブ・トップではないからか、多少論調がいつもの辛辣さを取り戻しています。

 特にキビシいのが、ギャレス・ベイルに対するコメントで、ベイルがレアル・マドリードに加入した際に、ベイルの移籍金を賄うために、前作で取り上げられていた、スアレスさん好みのエジルを放出していることから、レアル・マドリードの、その選択を口を極めて非難されています。

 どうも、フィジカルの強さを活かしたプレイヤーは、インテリジェンスが少ないと思われているのか、アタリがキツイですね。

 印象的なのが、グアルディオラ監督がバルセロナの監督時代に栄光の時をもたらした際のGKであるバルデスを取り上げられていますが、スアレスさん自身、現時点のトップGKとしては、バイエルンノイアー取り上げるべきなのはわかっているが…と言いつつ、バルセロナのGKという特殊な役割を果たしたバルデスの哲学的な側面を紹介されています。

 というのも、特にキーパーは冷静さが求められるのはわかるのですが、おそらくその中でも、どこか仙人を思わせるような「悟り」があることを指摘しておられて、独自の平常心の保ち方を持っていて、キモチの波が少ないということです。

 この本では、バルデスバルセロナを去って、マンチェスター・ユナイテッドと契約したとこで終わっていますが、その後に彼を襲った侮辱的な扱いを経て、どんなキモチでいるんだろう、ということに思いを致さずにおられませんでした。