橋を架ける者たち/木村元彦

 

 

 オシム本でしられる木村さんですが、最近ヘイトスピーチに関する著作が続いているようで、その流れで在日コリアンのサッカー選手に関する著作です。

 ワタクシ、この在日コリアンのサッカー選手関連の本に興味があって、このブログでも韓国人スポーツライターの慎武宏さんの著作なんかを紹介しています。

 この本では、在日コリアンの中でも特に北朝鮮代表としてW杯にも出場したアン・ヨンハ選手やチョン・テセ選手や仙台で活躍するリャン・ヨンギ選手が、苦難にめげずプロとして活躍する姿を追います。

 特にアン・ヨンハ選手は、在日コリアンたちが希望を抱けるようにと、北朝鮮代表としてW杯でプレーできるようにと期待に応えるための努力の健気さに泣けます。

 あと、ただ有名な選手だけを取り上げて…に終わらないところが木村さんらしいなと思うのですが、国として独立していない民族単位で戦うCONIFAワールドカップという大会に、在日コリアンで構成されるFC KOREAが挑む姿を追います。

 あと、2015年に浦和レッズのサポーターが“JAPANESE ONLY”という横断幕を掲げた問題について、そのやり玉となったとされる、同じく在日コリアンである李忠成選手の苦悩についても触れられています。

 多様性を体現するということで「橋を架ける」と表現されているのですが、こういう著作が広く認知されることで、少しでもヘイトスピーチを始めとするレイシズムが払拭されることを祈って…