「メンタルモンスター」になる。/長友佑都

 

 

 昨年のカタールでのサッカーW杯で、どちらかというとプレーぶりよりもドイツ戦、スペイン戦後の勝利インタビューでの「ブラボー」の連呼が話題になったサッカー日本代表左SB長友佑都選手が、主にロシアW杯からカタールW杯に至るまでの軌跡を語られた本です。

 

 出版自体がカタールW杯真っ最中で、執筆時点ではまだ最終メンバーの発表もない状態だったので、もし出場できていなかったらどうなったんだろう…と思わなくもないですが、長友選手ご自身はメンバー入りに関しては全く疑っていなかったようです。

 

 「メンタルモンスター」ということで、長友選手のメンタルの強さについては定評があるところですが、結局左SBのライバルでもあった中山選手の負傷離脱もあり、あまり異論もなく選出されることになりましたが、個人的には最終予選終盤の途中交代前提の長友選手の起用には大きなギモンを感じていましたし、このタイトルの本が出ると知ったときは、それでも出れると信じれるという図太さのことか!?と思っていたくらいです。

 

 ただ、やはりイザという時の、メンタルやコンディションのピーキングなどを見ていると、インテルガラタサライマルセイユといったヨーロッパの名だたる名門チームで長らくスタメンを張っていた経験に基づくノウハウはさすがと言わざると得ないですし、今回の途中交代5人制に救われた部分はあるんじゃないかと、個人的には思うのですが、そういう運を寄せ付けるところも「メンタルモンスター」たる所以なのかもしれません。

 

 ただ、やはりトップで活躍するということは、そういうある意味根拠がなくても戦う自信を全面に出せるというのは貴重なスキルだということで、長友選手が名だたる名将たちに選ばれてきたのも、そういう部分だとこの本でも語られており、後輩たちにもそういうメンタルを身に着けることを期待されているということは傾聴に値するところです。

 

 この本の執筆中は、W杯後に現役も引退されるつもりだったようにうかがえますが、W杯後は次も狙うなんてことも言っているようですが、さすがにそうなるとヤバいでしょう!?