2016年に選挙権が18歳以上にまで拡大されて、その年の18~20歳の投票が初めて認められた国政選挙となる参議院選挙の直前に出版された本です。
これまで若年層の消費行動の動向などについて様々な著書を出版されてきた原田さんですが、“マイルドヤンキー”や“さとり世代”、“ママっ子男子”など、これまで原田さんが紹介してきた様々な類型のオールスターと言った様相を呈しています。
で、そういう若年層が選挙民になったことが、シルバーデモクラシーと言われる、中高年の意向が色濃く反映される昨今の政治において、どういう影響を及ぼすかということを考察されます。
現在の若年層は、かつてとは異なり、人口減少の流れの中で、“マイノリティ”の意識があり、決して政治に興味がないワケでなく、投票行動に対する意欲もありながら、政治のことをよくわかっていないのに自分が投票していいんだろうか、と思っていたり、自分が投票しても何も変わらないんじゃないかという諦念があったりと“さとり世代”らしい感覚をうかがわせます。
アメリカ、イギリス、フランスなどの若年層の政治への関与も併せて紹介されているのですが、これらの国では若年層の失業率の増加や、過重な奨学金ローンの負担など、若年層の政治への不満が高まっており、それがトランプ大統領の当選や極右の台頭といった現象の要因の一つと言われています。
今のところ現状に差し迫った不満が表出していないので、表立った政治的な行動につながっていない日本の若年層ですが、“保育所落ちた、日本死ね”のツイートのように、ふとしたことをキッカケに、若年層の不満がクローズアップされる蓋然性はあるようです。
そういった若年層にアピールするために政治家は、若年層を圧迫しないのはモチロン、やたらと媚びるのもダメで、一生活者としてのスタンスをアピールすることが有効だという考察をされています。