中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか/中島恵

 

中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか ―中国インバウンド54のヒント

中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか ―中国インバウンド54のヒント

 

 

 中国人に関する数々の著作で知られる中島さんが「爆買い」以降の中国インバウンドについて語られます。

 タイトルには「日本の老舗」とありますが、それに触れられているのはホンのわずかで、ほとんどは如何にして「爆買い」後の中国インバウンド、特に良いと思ったモノには出費を惜しまない中国人富裕層にアピールして行くかということを紹介されています。

 「爆買い」後も実は中国人インバウンドは増え続けており、「モノ」から「コト」へという消費トレンドの移行についてのメディアでの報道を見られた記憶のある方も少な
からずいらっしゃると思うのですが、そういう表面上の現象だけではなく、特に富裕層は日本のモノやサービスに傾倒する傾向が強いようで、わざわざそんなことのために!?と驚くような動機で来日することも少なくないとのことです。

 だからこそ自分たちの地域の観光資源なんて中国人ましてや富裕層にウケるワケがないと思い込むんじゃなくて、とりあえず中国人が触れているメディアに自分たちの情報
を流そうとすることこそて、中国人富裕層誘致の第一歩となるようです。

 さらには多くの中国人が自国内で馴染んでいるスマホ決済などへの対応を積極的に進めるとか、富裕層が宿泊するにふさわしいホテルを整備するとか、キメ細やかにニーズに対応する姿勢が重要なようです。

 ひと頃中国人白タクが話題になっていましたが、あれも実は(提供する側の意識はともかくとして…)利用する中国人にとっては違法なんて意識はこれっぽっちもなくて、自国での便利なサービスを受けるような感覚で利用しているということで、それを合法的に提供するサービスがあれば大きなビジネスチャンスになるじゃないかと指摘されています。

 国家の施策でどんどん中国人観光客のマナーも向上して来ており、より富裕層を取り込むことでインバウンドをより実り多いモノにしていって欲しいモノです。