JRは生き残れるのか/梅原淳

 

JRは生き残れるのか

JRは生き残れるのか

 

 

 銀行勤務から鉄道雑誌の編集者を経て鉄道ジャーナリストになられたという異色の経歴の方が描く、JRの行く末についての本です。

 1987年にそれまでの国鉄が分割・民営化されて、2017年にはJR7社が揃って開業30周年を迎えたワケですが、一部のJRにとってそれは平坦な道ではなく、寧ろイバラの道だったところが多いのですが、今後30年の間にどうなっていくかということを予見されます。

 分割した当初からJR北海道、四国、九州の経営状況は懸念の対象だったのですが、30年経過した2017年当初では、想定していたよりも厳しい状況に置かれているようで、支援積立資金などを切り崩してなんとか破綻を免れているという側面もあるようです。

 JR北海道では、不採算区間の廃止を含めて大幅な経営合理化を模索しているようですが、最早単独でなんとも仕様のない部分もあって、より小さな単位への分割、および分割後の各社で柔軟な料金設定をできるように制度を改めるなど、できる限りのことをしないと存続は覚束ないようで、自治体も含めて地方の交通インフラをどのようにするかというところまで考えないといけないところがあるようです。
 
 首都圏の通勤需要を抱えるJR東日本東海道新幹線を抱えるJR東海と言えども経営が盤石という訳ではなく、それぞれが深刻な経営課題を抱えており、従来のフレームワークでは立ち行かないところが少なくないということです。

 一部、荒唐無稽とも思える提案もあるのですが、それほど状況は逼迫しているということなのかもしれません。