働く女子と罪悪感/浜田敬子

 

 

 女性として初めてAERAの編集長を務められたことでも知られる方が働く女性の葛藤について語られた本です。

 

 著者である浜田さんは、1989年に朝日新聞に就職されて着任当初多くの新人がそうであるように、サツ回りを担当されていたということで、雇用機会均等法は施行された直後とはいうものの新聞社と警察というオトコ社会の権化のようなところで居場所を見つけることがままならなかったことを告白されています。

 

 その後AERAの編集部に異動されて、仕事のオモシロさに目覚めて頭角を現していかれたようですが、サツ回り時代よりは随分とよかったものの、やはり何かと躓く場面は少なくなかったようで、当時の働く女性の置かれた立場のキビシさを窺わせます。

 

 仕事のオモシロさには目覚めつつも、やはり子供は持ちたいと思われて、当時の状況ではギリギリのタイミングである38歳の時に出産されて、ダンナ様と交互に育休を取ったり、ご自身のご両親が実家を引き払って同じマンションに引っ越してきてお嬢さんの面倒を見てくれるという、ワーママからすると羨ましいほど恵まれた状況にはあったようで、浜田さん自身は割と仕事中には子どものことを気にすることは少なかったようですが、だからと言って心置きなく仕事に集中できるという状況ではなかったようで、お迎えで早く帰るような状況ではコソコソと帰られていたりしたということで、そういう状況で女性が十全に活躍するには、そういう状況に細かなところまで理解が行き届いた上司が万全の支援体制を敷いて初めて成り立つようで、今なおそこまでの職場は多くないことだと思われます。

 

 昨今は浜田さんの時代よりも多少は改善しているのかも知れませんが、業界によってはまだまだ女性にとっての障害となる場面は少なくないと思われ、日本社会の女性の活用という意味では、もっともっとテコ入れすべきところが山積しているんだろうなあ、ということを改めて痛感させられるモノでした…