先日、朝日新聞に入って、女性初の『AERA』編集長となった浜田敬子さんがその経験を語られた『働く女子と罪悪感』を紹介しましたが、この本は毎日新聞で女性初の政治部長となられた方が、永田町という、先進国の中で最も女性の活躍が遅れている日本の中でも最も女性の活躍が阻害されているとも言えるところで生き抜いてきた経験を語られた本です。
2018年に財務省の事務方トップである事務次官がテレビ朝日の女性記者へのセクハラで辞任に追い込まれた事件が物議を醸しましたが、ああいうセクハラというのは日常茶飯事で、むしろ取材する側が積極的に「貢ぎ物」として女性記者を政治家の宴席に出席させて…といったこともしばしばあったようですが、世間の目がそういうことにキビシくなった今なお、そういう類の事象は根絶されないようです。
そういうセクハラだけではなく、よく言われる「ガラスの天井」ということもあるのですが、元々ほぼ男性しかいない世界で形成されてきたコミュニティで、あらゆるところで女性記者がコミュニケーションの阻害を感じる”ガラスの壁”みたいなものがあったということで、さらには「ガラスの天井」を突き抜けたかと思いきや、課題が山積したポジションに付けられて、うまくやりおおせればラッキー、失敗したらそのまま捨てられるという「ガラスの崖」というものもあることを指摘されています。
佐藤さんの世代は、雇用機会均等法が施行されて女性が男性と同様に働くように法整備が行われた最初期になるのですが、必ずしもそういう法整備が女性にとって働きやすくなったというワケではなく、むしろオッサンが都合よく法を利用した側面もあるようで、女性としてもオッサン化して馴染んでいくしか、生き残る術がなかったようで、そういう部分については佐藤さんもいくばくかの悔恨があるということで、キャリアもプライベートも充実させてこそ、女性の活躍が十全に確保されたといえるということで、そういう方向での社会環境の整備をまだまだ進めていく必要がありそうです。