ルポ貧困女子/飯島裕子

 

 

 女性の貧困に関する本なのですが、今回は主に単身女子の貧困にフォーカスしたモノです。

 

 最近雨宮処凛さんの『女子と貧困』を紹介した際にも言及しましたが、どうしても男性の著者が女性の貧困を扱った本の場合、風俗関係の方に行ってしまいが地なのですが、女性は割とプレーンであるか、意識してソッチ方面の内容を避けていたりするので、ホストに入れ込んで風俗みたいな極端なケースが除去されているので、平均的な貧困のケースが扱われていると考えられます。

 

 この本は2016年の出版ということで、最悪の不況を脱した時期なので、多少は不況要因のエピソードも含まれてはいるものの、ある程度フツーの状況での構造的な要因に基づく貧困と言えそうです。

 

 しかも、実家在住の女性とか、正社員の女性とか、それなりに条件の整った人であるにも関わらず貧困に陥っているケースが多く取り上げられており、ブラック企業勤務だったり、両親との不和や、親を失ったり、健康を損なったりということで極端な貧困に陥りかねないことや、夢を追った挙句40歳代くらいになって、さしたるキャリアもなければ、その時点で一人での生活も成り立たないような稼ぎしかできないよな仕事にしかつけないなど、ある程度マジメに生きてきた人でも貧困に陥りかねないということです。

 

 それっていうのは、やはり未だに女性の就業機会というのが、若い女性を中心に、腰掛を前提に考えられているケースが多いということなのか、継続的にキャリアを重ねていなければ、ある程度の年齢を重ねてからフツーに働くことが難しい状況が続いていることの証左なのかも知れません。

 

 安倍政権が「一億総活躍」なんて言いながら、結局は保育所の整備にすら手が回らず、おそらくそういう就業機会の整備なんてアタマにもなかったに違いなく、さらに昨今のコロナ禍で、振出しに戻るより悪い状況になってしまっており、やはりまだまだこの国で女性は行きにくい状況が続いてしまっているようです…