女子と貧困/雨宮処凛

 

 不登校や貧困など社会の弱者についての著書や支援活動などで知られ、”知の怪人”佐藤優さんもその活動を絶賛されている雨宮処凛さんが貧困にあえぐ女性の実態を紹介された本です。

 

 女性の貧困というと、中村淳彦さんや鈴木大介さんの『貧困とセックス』のように性風俗とリンクさせてしまいがちですが、この本で紹介されている人たちは”踏みとどまって”いる人たちで、風俗関連に携わられているのはキャバ嬢の組合活動を扱ったモノのみとなっています。

 

 それにしてもこういう貧困にあえぐ女性たちの実態を見ていると、日本におけるセーフティネットというのはロクに機能していないとしか思えないのが実態で、まずは生活保護が申告制となっていて、被用者からの申告が無いと支援を受けられないということで、自分が対象となるのかどうかを確認しなくてはいけないことになっています。

 

 また生活保護を受けようとしても、親族への照会など多様な制約があって、結局は支援を受けるのを断念してしまう人が少なくないようです。

 

 さらには受けられたとしても、クルマが持てないとか、受けられる教育が制限されるとか、子どもがバイトをするとその賃金の分減額されるなど、おおよそ手厚い支援とは程遠い状態となっているということです。

 

 また、離婚した場合の養育費を受けられているのは、全体の中でわずか2割にとどまっているということで、養育費の支払いを確保するための仕組みも整備されていないままで、子どもを抱えた女性の多くは離婚により貧困に直行してしまう状況となっているようです。

 

 そういった中で、貧困の連鎖を断ち切って、子どもにはシアワセになってもらうよう苦闘されている人たちを紹介されているのですが、こういう状況を見ると、やはりベーシックインカムの導入には一定の意義があるんじゃないかと思ってしまいます。

 

 何にせよ、こういうところに手を付ける気配も見せないで、”一億総活躍”もあったもんじゃないですよねぇ…