家のない少女たち/鈴木大介

 

家のない少女たち 10代家出少女18人の壮絶な性と生 (宝島SUGOI文庫) (宝島SUGOI文庫 A す 2-1)
 

 

 以前、中村淳彦さんとの対談本である『貧困とセックス』を紹介した鈴木大介さんの著書です。

 中村さんが性風俗関連の状況を紹介する著書が多いのですが、鈴木さんは貧困だったり家出だったりといった、性風俗に関わる人の状況を扱った内容の著作が多いようです。

 とはいうものの、どうしても家出などの状況に陥る少女たちが、孤立無援の中、生き延びて行こうとすれば、何らかのカタチで性風俗に関わっていかざるを得ないケースがほとんどのようで、この本でも様々な理由で親元で暮らして行けなくなった少女たちがカラダを売って行かざるを得なかった状況を紹介されています。

 家にいられなくなった事情のほとんどが彼女らの親からの虐待だったり育児放棄だったりするワケですが、そういった境遇に陥ってしまった少女たちがラブホを渡り歩いたり、カラダ目的でそういった少女たちを泊める人を頼ったりという切実な状況があるようです。

 そういった境遇に陥らざるを得ない原因が、日本の社会福祉における児童福祉の地位の低さのようで、老齢福祉や障碍者福祉と比較すると、どうしても“声の大きさ”に劣ってしまうことから、後回しにされてしまいがちだということです。

 虐待の事件があるたびに児童相談所の対応が非難されることが繰り返されていますが、責任を問われるべきは、根本からそういった状況を解消しようとしない為政者なんじゃないかと、この本を読んでいると思わされます。