日本人になりたいヨーロッパ人/片岡優、須貝典子

 

 

 ヨーロッパ27カ国それぞれの親日の状況を紹介した本です。

 

 ここ数年、日本の情けない状況を慰めるかのように、日本をやたらと持ち上げる本がもてはやされていて、こういう本を見ると最近マユにツバを塗りたくなる衝動が止められませんが、この本は2014年出版で、今よりも多少状況はマシだったということもあって、まあ、ちょっと気を取り直して読んでみた次第です。

 

 コロナ禍も最悪の状況を克服したように見えることもあって、インバウンドを再開して経済のテコ入れを図ろうということで、再開以降早速海外からの旅行者が急増しているのを見ると、かなり根強い人気があるようで安心するのですが、そういう状況の傍証とも言える状況がこの本で紹介されています。

 

 この本ではヨーロッパの27カ国それぞれの親日の状況が紹介されていて、その国の大勢が必ずしも親日という状況ではないのかも知れませんが、それぞれの国にそれなりの熱意をもって日本に好意を持ってくれている人たちがいることを紹介されています。

 

 結構多いのが日露戦争でロシアを破ったことに起因する親日で、バルチック艦隊を破ったことでその圧力から逃れたことが独立の遠因となったフィンランドは、まあ理解できるところですが、ロシアの仇敵であったトルコやポーランド親日のキッカケはにちろせんそうだということで、どれだけロシアがキライやねん!?という感じですが、そのロシアも親日的な層があるようで、その代表的な存在が、今や西側諸国にとって諸悪の根源であるプーチン大統領だということで、プーチン大統領の、柔道への傾倒を含めた当時の親日ぶりにも触れられています。

 

 また第二次世界大戦時に、杉原千畝の「命のビザ」によって多くの難民の命を救われることになったリトアニア親日なのは理解できるとして、多くの国で日本のサブカルや精神性などを支持してもらっていることにオドロくとともに、ちょっと買い被り過ぎじゃない!?とも思うのですが、彼らが念願の来日を果たした際には、通訳案内士として落胆させないように「お・も・て・な・し」しなくては…