性と国家/北原みのり、佐藤優

 

性と国家

性と国家

 

 

 「知の巨人」佐藤さんが、フェミニズムの論客北原さんと「性」と国家のかかわりを語ります。

 佐藤さん自身、かなり突っ込んだ議論となったとおっしゃいますが、ガチで論争をしたというワケではなく、お二方の指向するところにそんなに大きな差異はないので、北原さんのおっしゃることに対して、諸外国での状況や、佐藤さんの専門であるキリスト教の教義上どうだったか、ということを解説するといった具合です。

 お二方の議論によると、どうも日本はかなり性的なモノに寛容すぎる部分があるようで、例えば日本でフツーに流通している雑誌を外国に送ろうとしたら、児童ポルノに該当する部分があってマズいなど…

 そういういい加減な部分が理解されないという側面も長らく韓国や中国との間で懸案となっている慰安婦問題の紛争の要素であるようです。

 また、性風俗の業界と言うとアンダーグラウンドな印象がありますし、諸外国ではまさにその通りなのですが、日本の場合、実はバックに警察の影響力が働いていたりと、隠然と公権力が作用しているということで、これは非常に珍しいと同時に、かなり恥ずかしい状況であるようです。

 そういう総合的に、男性の性にアマいというところが、女性の人権の向上が進まないことの一因であるようで、その辺り、もうちょっと問題になってもいいんじゃないかな、とこの本を読んだら、きっと女性陣の大半は怒ると思うのですが…