情報戦争を生き抜く/津田大介

 

 

 ネットメディアに精通したジャーナリストとして知られる津田さんがネットメディアの恐るべき現状を紹介された本です。

 “情報戦争”なんていうと大げさな…と思われるかも知れませんが、現在ネットメディアは世界中のあらゆる側面で大きな影響を及ぼしていますが、その情報がどういう性格のメディアから出たモノなのかをキチンと意識しておかないと取り返しのつかないことが起こりかねないということを警告されています。

 例えば、BrExitトランプ大統領の当選はフェイクニュースに端を発した情報拡散が小さくない影響を及ぼしたということですし、フランスのマクロン大統領も選挙戦でフェイクニュースによる妨害工作を受けたということで、悪意の情報操作がカンタンに国家の行く末に影響を及ぼしかねないということで、空恐ろしい状況になっています。

 だからと言って厳格に取り締まればいいというワケではなくて、そういう対策に名を借りた権力側が人権蹂躙を行う可能性もあり、単純にソッチに振れてしまうのも大きなリスクを孕んでいるということで、現状では有効な対応策を見いだせていないということのようです。

 でもそれを放置しておいていいワケではなく、利用する側である我々も含めて、ネットメディアに関わる人全員の総力を以ってそういった悪意に対抗して行こう、と呼びかけられています。

 少なくともそういう“悪意”の存在をしっかり認識した上でネットと向き合わなければならないようです。